週末に入っても瑞希は一人だった。
玲望は大人しく捕まえられてくれなかったから。
「今日急ぐから」なんて、ちらっとこちらを一瞥しただけで行ってしまったのだ。
確かにバイトが早い時間からあるときはさっさと帰ってしまうのだけど、ここまで冷たくされることはない。
玲望はまだ許してくれる気がないのだ。
実感して胸が痛んだ。
一応、瑞希としてはカタをつけた。
志摩を捕まえ、はっきり話した。
「悪い、付き合ってるやつがいるんだ」
それだけだったけれど、それでじゅうぶんだっただろう。
志摩は顔を歪めて泣き出しそうな顔をしたけれど、それでも笑ってくれた。
「そうなんですね。すみませんでした」
自分が彼女を傷つけたことはわかっている。
遠回しながら、好意を持っていると伝えてくれたのだ。
それをはっきり線引きして。
傷つかないはずがない。
けれど曖昧なままでいるより、ずっとましだとも思うのだった。
それを玲望に言おうかと思ったけれど、そしてそれがひとつのけじめであることもわかっていたけれど、どうもそれでは足りないようだった。
実際、玲望は自分に捕まえられてくれないのだから。
それで瑞希が思い立ったのは、この週末のキッチンだったというわけだ。
金曜日の帰りにスーパーに寄って、小麦粉やバターを買った。
準備も整って、土曜日の朝からキッチンにこもる。
実習のとき、瑞希は直接作っていなかったので、さくさくとは進まなかった。
自分で菓子を作ったことは一応あっても、だいぶ昔のことだ。
プリントを見つつになる。
玲望は大人しく捕まえられてくれなかったから。
「今日急ぐから」なんて、ちらっとこちらを一瞥しただけで行ってしまったのだ。
確かにバイトが早い時間からあるときはさっさと帰ってしまうのだけど、ここまで冷たくされることはない。
玲望はまだ許してくれる気がないのだ。
実感して胸が痛んだ。
一応、瑞希としてはカタをつけた。
志摩を捕まえ、はっきり話した。
「悪い、付き合ってるやつがいるんだ」
それだけだったけれど、それでじゅうぶんだっただろう。
志摩は顔を歪めて泣き出しそうな顔をしたけれど、それでも笑ってくれた。
「そうなんですね。すみませんでした」
自分が彼女を傷つけたことはわかっている。
遠回しながら、好意を持っていると伝えてくれたのだ。
それをはっきり線引きして。
傷つかないはずがない。
けれど曖昧なままでいるより、ずっとましだとも思うのだった。
それを玲望に言おうかと思ったけれど、そしてそれがひとつのけじめであることもわかっていたけれど、どうもそれでは足りないようだった。
実際、玲望は自分に捕まえられてくれないのだから。
それで瑞希が思い立ったのは、この週末のキッチンだったというわけだ。
金曜日の帰りにスーパーに寄って、小麦粉やバターを買った。
準備も整って、土曜日の朝からキッチンにこもる。
実習のとき、瑞希は直接作っていなかったので、さくさくとは進まなかった。
自分で菓子を作ったことは一応あっても、だいぶ昔のことだ。
プリントを見つつになる。