続けられたこと。

 瑞希はとっさに反応できなかった。

 まさかよそからそういう気持ちを向けられているとは思わなかったし、それが身近な後輩だったというのも衝撃だった。

 けれどこれは自分があまりに鈍かったのだ、ということを思い知らされた。

 玲望に夢中になるばかりで、周りのことをよく見ていなかったといってもいい。

 そしてそれは示していた。

 自分のその態度のためになにか、誤解をさせてしまったのかもしれないと。

 望みがある、くらいは思わせてしまったのかもしれないと。

 とっさになにも言えなかった、のだけど。

 それが余計に悪かったと数秒後に瑞希は思い知らされる。

 がたんと音がした。

 ここは廊下だ、誰かに聞かれてしまっただろうか。

 瑞希の胸がひやっと冷えたけれど、見えたものに、今度は冷えるどころでは済まなくなった。

「……玲望」

 廊下の向こうからやってきた人物。

 それは玲望だったのだから。