「玲望が教えてくれたからだろ。ほんとに助かったよ」

「いいや。俺で力になれるなら」

「今度、礼するから。うまいもん奢るよ」

 今日の指導役のお礼は、一食ご飯を奢ることになっていた。

 一緒に外食というのは滅多にないので、瑞希も楽しみだった。

「じゃあラーメンがいい。大盛り、替え玉付きで」

「欲張りだなぁ」

 瑞希がくすっと笑うと、玲望も笑ってくれた。

 そのあとラッピングの時間になり、ここは女子が活躍していた。

 玲望は「俺は包むとしても素っ気なくなっちゃうから、かわいくできるならそのひとたちに任せたらいい」と任せてくれたのだ。

 女子たちはきゃっきゃと明るい様子でかわいい袋に焼き菓子を入れて、口を閉じていく。

 シールを使ったり、リボンをかけたり……。

 そうなってみると、ただ作った剥き出しの状態から立派な商品の見た目になった。

 瑞希は感心してしまう。

 バレンタインなどにこういうものは見るけれど、実際に制作されているところを見るのは初めてだったのだ。

 女子ってすごいんだな。

 改めて感心した。

「さ、じゃあ片付けをしよう」

 大体終わったとおぼしきところで瑞希は、ぱん、と手を叩いた。

 とはいえ、用具などの洗いものや片付けはオーブンで焼いているときにおこなっていたので、片付けるといってももうその場を整えるくらいしかない。

 だからすぐに終わってしまった。

「お疲れ! 本番はもっと頑張ろうな」

「はい!」

 それで締めになった。

 わいわいと明るい声が溢れて、部員たちは帰っていく。