手持ち無沙汰になったので、座布団の上に寝転んでスマホを弄っているうちに、玲望が風呂から上がったようだ。

 自分で言ったように、きっちり髪を拭いたようで、タオルは首にかかっていた。

 しかしそれを見て、瑞希はもっとどきりとしてしまう。

 長めの金髪が濡れていて艶めかしい。

 石鹸の清潔な良い香りもする。

 それにこれが一番であるが、シャワーを浴びてあたたまって、上気した玲望の様子がとても色っぽい。

 ああ、もう。

 やっぱりこんなの、何回も見てるじゃないか。

 瑞希は自分に呆れてしまうのだったが、玲望はそんなことまったく気付いていない様子。

「ドライヤー使うから」

 さっさとドライヤーを手にした。

 けれど、瑞希はそのドライヤーを玲望の手から取ってしまう。

「乾かしてやる」

 言ったことは、たまにしていることだった。

 玲望はあっさり受け入れて「まぁ、それなら」と座布団に座った。

 スイッチを入れて、今度は玲望の髪を乾かしていく。

 ちょっと長めの金髪はまだ水気をだいぶ含んでいた。

 その髪を持ち上げるように風を通していって。

 髪からだんだん水気が飛んでいって、手触りがサラサラしていく。

 瑞希はこの感触が好きだった。

 自分のただの短髪にはないものだから。

 短髪は、ざっと風を当てるだけで済んでしまうのだ。

 手入れが大変なのではないかと思ったけれど、前に聞いたとき、玲望は「別に」とさらっと言った。

 昔からこのくらいなので、もう慣れたのだという。

 中学生から伸ばしているのだとか、長いときは結べるくらいあったのだとか、聞いた。

 特にこだわって長めにしているわけではなさそうだけど、なんとなく思い当たる理由はある。

 多分、散髪の間隔が多少空いたとしても良いように、だろう。

 流石に失礼かもしれないので、口に出したことはないが。

 その通りで、あまり頻繁には切っていないようだったけれど、玲望の髪はトリートメントのおかげかいつもつやつやしているのだ。

 清潔感がないなんてとんでもない。

 逆に学校で女子にも「基宮くん髪、綺麗だねー」なんて褒められているくらいだ。

 自分がそうなりたいとは思わないけれど、褒められるくらい容姿がいいのはちょっといいな、と思う瑞希だった。

 それでもロングヘアというほどはないので、比較的早くドライヤーは終わる。

 最後にぽんと玲望の肩を叩いて終わりを告げた。