「へぇ、バザーねぇ」

 玲望は興味を持ってくれたようだ。

 煮物の鶏肉を摘まみながら、今度は玲望のほうから質問してくれる。

「なに出すの?」

「いやー、それはまだ……リサイクル品とか、あとは作るなら手軽にできるもの、っていうか、みんなで作れば負担が少ないものにしたいんだけど」

 詳細はまだ決まっていないのだ。

 大体まだ候補のひとつでしかないし。

「ふーん……手作りもいいかもな」

 そこでふと、瑞希は思い当たった。

 手作り、というところから、そして今、食べているそうめんやら煮物やらから。

「色々許可が下りたら食べ物を出せるところもあるんだってさ。食べ物だったらなにがいいと思う?」

 料理なら玲望の得意分野。

 参考になるかもしれないと質問してみる。

「え? そうだなぁ……簡単にできて、失敗しにくくて、素人でも売り物レベルにできるんだったら……クッキーとか焼き菓子とかどうかな」

 確かに学園祭などでも焼き菓子はよく売られている。

「それ、いいな。袋詰めしといたら売るのもラクそうだ」

 そのときはそんな軽い話で済んでしまった。

 詳細が決まっていないので先走ったことは言えないけれど、と思ったので瑞希はその先は言わなかった。

 もしなにか食べ物を作るのであれば、玲望に手伝ってほしいな、などは。

 依頼すれば玲望は口では文句を言いつつも、力になってくれるだろう。

 だから、もしそう決まるなら。

 頭の中で考えて、瑞希はそうめんとおかずをぺろりと平らげた。

 ごちそうさまを二人で言って、後片付けは瑞希の役目。

 皿を洗って、拭いて、片付けて。

 作ってもらったのだから片付けくらいはさせてほしいし、それにこういう作業も好きなのだ。