「よし、じゃ、今日はこのへんで。鈴木先生に相談してみるよ」

 まずは顧問の鈴木教諭に、どんなことなら許可が出るのか相談しなければならない。

 ふさわしくない、許可が出せないなど却下されることもあるだろう。

 それで今日の部活はおしまいになった。

 部員たちは荷物を持って早々に帰る者、なにか雑談をして残る姿勢を見せる者もいる。

 瑞希は今日、ノートに書記をしていた生徒、二年女子の志摩(しま)の元へ行った。

「まとめといてくれるか?」

 声をかけると、志摩はノートから視線をあげて瑞希を見た。

 こくりと頷く。

「勿論ですよ。これを鈴木先生のところへ出すんですよね」

「ああ。だからまとまってると助かるよ」

 ノートには既に整然と文字が並んでいた。

 このノートは下書き用だ。

 案をとりあえず書きつけておくもの。

 清書用のノートも横にきちんとあった。

 書記の志摩はきっちりとした性格で、書くものも見やすいし字もうまい。

 指名したのは去年の部長だが、瑞希にとっては大変助かることである。

「明日にはできますよ」

「そりゃあもっと助かる。ありがとな」

 瑞希がお礼を言うと、志摩はちょっと恥ずかしそうな様子を見せた。

 自分が褒めたからだろうか、と瑞希は思う。

「さて、じゃあ俺も自分でまとめておくか」

 流石に今日はさっさと帰るわけにはいかない。

 自分用のノートに案をまとめておかなければ。

 机について、持ち歩いているノートを広げる。

 今日の会議のことを思い返しつつ、案以外にも自分の思ったことや会議から連想したことも書きつけていく。

 そんなことをしていれば下校時間はすぐだった。