「うん、いいかもな。なんか知ってるやつはいるか?」

 瑞希の質問には一年生が手をあげた。

「私、ハンドメイドするんですけど、ラージサイトで大きいのをやりますよ。いとこについていって、去年出したんです」

 女子生徒のその意見から詳しい話が出てくる。

 瑞希は机の上にあったタブレットを引き寄せて、イベント情報を検索する。

 確かにそのイベントが、夏休みのど真ん中にあるようだ。

 ラージサイト、東京では一番大きいであろうイベント会場。

 つまりそのイベントの規模もかなり大きいというわけだ。

「でも私がやったわけじゃないのでよく知らないんですけど、結構前から申し込みとか要るみたいで……間に合わないかもしれません」

 彼女はちょっと気が引けた、という様子で言った。

 提案したのだから、駄目かもしれないというのは申し訳なく思ったのだろう。

 確かにその問題があった。

 けれど瑞希は彼女に笑みを返しておいた。

「いいや。これからの活動に生かせるかもしれないし、無駄じゃないさ。それにもっと小規模なものだったら間に合うかもしれないだろ」

 そんなわけで、バザーというのは候補のひとつになった。

 ひとつの意見で決定とするわけにはいかないからだ。

 ほかにも『清掃活動』とか『バスケ大会』とか、定番のものも出てくる。

 定番とはいえ、そして去年も同じようなことをしたとはいえ、場所が変われば内容も変わっていくだろう。

 次々と案がホワイトボードに並んだ。