つめたい風が吹く中、あたたかかったホットレモンと玲望のくちびる。

 それを瑞希は玲望のレモネードから思い出した。

 あれからすべてがはじまった。

 後日ではあったけれど、きちんと「俺と付き合ってくれ」と言った。

 玲望もしっかり目を見返して「俺で良ければ」と言ってくれた。

 恋人同士になった。

 キスだって何回もした。

 ほかにも触れるようなことや、心近付けることもした。

 しっかりと恋人同士になっていった、瑞希と玲望。

 それは交わした行為だけではない。

 時間や、一緒に過ごしたこと。

 そういうものがきっと手伝ってくれていた。

『何回だって、初めてみたいな気持ちだよ』

 自分で先程そう言った。

 それはほんとうの気持ち。

 玲望が同じ気持ちかはわからないけれど、少なくとも毎回のそれを大切に思ってくれていること、それはしっかりもう知っている。

「おかわり」

 もう一杯レモネードを所望した。

 瑞希は気分を変えるべく言ったのに、どうも玲望は違う意味に取ったらしい。

 ちょっと顔をしかめて、でも目を閉じた。

 それが意味するところなんて。

 瑞希は意外な展開にきょとんとしたが、一秒もなかった。

 すぐに、ふっと目元を緩めて玲望の肩をやわく掴む。

 そっと引き寄せた。

 二杯目のレモネードはやはり酸っぱくて、でもはちみつのようにとろりとした甘い味がした。