クリアファイルは幸い全種類あった。

 まだ一昨日はじまったばかりなのだ。

 どのクリアファイルをもらうか決まったあとは、ノルマの菓子を。

 なるべく安くて美味いものを……。

『対象商品』の札がついているものを、あちこち行ったりきたりして探す瑞希を放っておいて、玲望は勝手に店内を見ている。

「なぁ、すごいぜ。新サイズだって」

「ん? ペットボトル。ちっちぇえな」

 玲望が指差したペットボトルは随分ちんまりとしていた。

 200mlほどしかなさそうだ。

「これいいな! 外でなんか飲みたいと思っても、安いスーパーとかがすぐ見つかるわけじゃないだろ。でも500ml一本は多すぎる。そういうときに最適じゃん」

 今すぐ買わないにしても、良いものを見つけられたのが嬉しかったのだろう。顔が明るい。

 そして玲望らしいロジックである。

 瑞希はつい、ふっと微笑んでしまった。

 こういうところがかわいらしい。

 真面目な顔で合理主義なことをとつとつと、しかし無邪気に述べるところが。

 そだな、とか、じゃあ夏向けか、とか言いながら瑞希の菓子も決まり、レジへ向かった。

 そこで差し出されたもの。

「五百円以上でくじが引けまーす。一枚ドーゾ」

 大学生らしい男子店員が、紙製のチープな箱を差し出した。

 くじか。

 なにが当たるのか。

 どうせ三十円引き券とかそういうもんだろ。

 アタリなら缶コーヒーとか。

 軽い気持ちで瑞希は箱に手を突っ込み、一枚掴み出した。

 それを見て、店員は特になんの感動もなく言う。

「ドリンク賞です。この中からひとつドーゾ」

 さっきと同じ、気のない声だった。

 だがアタリを引いたことに瑞希のほうは、ぱっと心が明るくなってしまう。

「おい、玲望! 当たったぜ」

 入り口近くの栄養ドリンクコーナーなんかを、見るともなしに眺めていた玲望を呼ぶ。