「なんかエロいな」

 にやっと笑って言うと、玲望は顔をしかめた。

 真面目なことを言っているのに茶化されたからだろう。

 しかし顔がうっすら赤い。

「はぁ!? どこがだよ! 変な連想するほうがエロいわ!」

 その様子がかわいくて、瑞希は笑ってしまう。

 くつくつと声に出たからか、玲望はもっと顔をしかめて、しかし、ため息をついて流した。

 こういうからかいは割合よくあるので。

「……はぁ。そこにはちみつを入れて混ぜて、炭酸水を入れる。で、氷入れて完成」

 このような工程で、このおいしいレモネードは出来上がっているそうだ。

 瑞希も茶化したのは流して、目の前までグラスを持ち上げて、ちょっと揺らした。

 氷がちゃぷんと揺れる。

 疲れたときにはクエン酸がいいっていうよな。

 ふと頭に浮かんだ。

 そしてレモンにはたっぷりクエン酸が含まれるのであって、運動後などに最適。

 それに汗をかきやすい季節になりつつあることもあって、爽やかで栄養豊富なレモンの食べ物や飲み物がよく売られている。

 ……たくさん掃除で働いた俺を気遣ってくれたんだな。

 そう思えば余計嬉しいではないか。

「相変わらず凝ってんな……」

 でも素直に「ありがとう」と言うのはちょっと恥ずかしい。

 よってそんな言葉になった。

「どこが凝ってんだよ。搾って混ぜるだけだろ」

「普通の男子高生はレモン搾ったりしないっての」