そんな話をしながら、ありがたくいただいたレモネード。

 手にするとグラスからして、きんと冷えていた。

 暑い折、しかもあれこれ動いたので冷たさが心地いい。

 氷入りなだけでなく、もしかしたらグラスも冷やされていたのかもしれない。

 ひとくち飲めばきりっと冷たく、レモンの酸っぱさと、ほのかに甘い味もする。

 そして炭酸入りのようで、しゅわっと心地良く舌に刺激が伝わってきた。

「これ、どうやって作んの?」

 自分で実践するつもりはないが聞いてみる。

 玲望も自分のぶんを飲みながら、あっさり言った。

「まずレモンを搾って……」

「握りつぶすの?」

「んなことができるかよ」

 混ぜ返すと玲望にちょっと睨まれた。

 乱暴に立って、台所から妙なものを持ってきた。

 三角柱に突起の付いた、木の器具である。

 それの持ち手らしきところを手に持って、なにか手真似をした。

「こういう器具があるから……これでレモンをぐりぐりっとやって、果汁を搾る」

「へー……」

 こんな……レモン搾り器なんて、普通の家にあるものだろうか。

 でも玲望の家はそういう、ちょっと奇妙なものがちょくちょくあるのである。

 自炊に使う、ちょっとマニアックなものというか、そういうものが。