つい勢い込んで、色々言ってしまった。

 それには玲望に笑われた。

 海から視線を離して、元通り、瑞希のほうを見てくれて。

「相変わらずせっかちだなぁ。急がねぇよ」

 笑われたけれど、そのあとの言葉は優しかった。

 その更にあとの言葉も。

「瑞希は約束を破るようなヤツじゃないからな」

 信頼の言葉。

 瑞希の胸が熱くなる。

 嬉しいと思うと同時に、もっと強いものも胸の中に生まれた。

「玲望」

 たまらず一歩、踏み出していた。

 玲望の肩に手を回して引き寄せ、胸に抱きしめる。

 ちょっとべたっとしていた。

 汗の香りもする。

 自転車で走ってきて、散々汗をかいたのだから当然だ。

 だが不快どころか、なんだか落ち着いてしまうような感触やにおいだった。

 確かにここに居てくれるという。

 それから、瑞希と一緒に走ってくれたという。

 その証だから。

「なんだよ」

 玲望は言って、身じろぎもしたけれど、瑞希にはわかる。

 気恥ずかしいのを誤魔化すのと、まぎらわすための言葉だ。

「約束する。絶対に叶えるって」

 玲望が信じてくれたこと。

 それに報いたい。

 自分がそうしたいというほかにも、玲望も望んでくれるのだから。