今までずっと思っていたこと。

 そうしたいと思っていたこと。

 けれど、あやふやすぎて、言えないでいたこと。

「……同棲する、ってことか」

 たっぷり三十秒は黙っただろう。

 玲望はそのあとでそう言った。

『一緒に暮らす』といったら、連想できるのはそれだろう。
 
 そうであるような、そうでないような。
 
 瑞希は頷くでも首を振るでもなく、ただ続けた。

「それはそうだ。でも単に一緒に暮らすだけじゃない。俺は玲望と生活を共にする……」

 ちょっと切れた。

 ためらったのではない。

 玲望にしっかり伝わるように。

 目をしっかりと見つめた。

 これも初めて会ったとき、とても綺麗だと思った、緑色の瞳。

 今は自分のことも見つめ返してくれている。

「パートナーになりたい」

 きっぱり言い切った。

 もうためらいも、口に出していいのかという迷いもないから。

 玲望の返事がどうあろうと、これは自分の願望で、玲望に考えてもらいたいこと。