大人なら違うのかな、なんて瑞希は思った。

 大人なら「俺のところへ来いよ」なんて、住まわせて、過度の節約なんてしなくてもいいような暮らしを……。

 そこまで考えて、瑞希はその思考が馬鹿馬鹿しいことに気付く。

 苦笑いが浮かんだ。

 そんな、金で解決するような真似。

 自分は良いと思わないし、玲望だってきっと望まない。

 でも。

「俺のところへ来いよ」という発言にこもる気持ちはひとつではない。

『一緒にいたい』という気持ち。

 そちらのほうなら瑞希の中に確かにある。

 叶えられないのがもどかしいほどに、ある。

 玲望と一緒に居たいと思う。

 そう、さっき……思えばまだたった数時間前……一緒に夕食を食べたときも思ったように。

 独りでご飯を食べる玲望に、一緒にご飯を食べるひとがいたらいいのにと思ったこと。

 そしてそれが、自分であったらどんなにいいかと思うこと。