後半は前半に比べたらちょっと辛かった。

 当たり前だ、疲れが出てくる頃なのだから。

 そうでなくとも一日過ごしたあとなのだから、元気いっぱいなわけがない。

 おまけに玲望はバイトまでしてきたあと。

 立ちっぱなしのスーパーのレジなんてしてきたのだから、瑞希よりもっと疲れは多いだろう。

 なのに玲望はもう文句を言わなかった。

 ただ黙々と自転車を漕いでいる。

 前半以上に会話はなかった。

 体力の消費を抑えたいというつもりだが、それだけではなかったかもしれない。

 少なくとも瑞希はそうだった。

 玲望に言われたこと。

 なにかあったのか、ということ。

 自転車を漕いでいるのと、あと車や道に気を付けるのと。

 それしか考えることはないので、余計に思考が巡るのかもしれない。

 ことあるごとに思うのは、玲望の境遇や気持ちである。

 境遇については自分が同情するものではない。

 玲望自身が『そういうものだ』と受け入れていることなのだから、いくら恋人と言えども口を出すことではないからだ。

 大体、口に出したところでどうするというのか。

 高校生の身ではなにもできやしない。