「そっかー、やっぱ夏は海水浴だよな。海なんてもう何年も行ってねー」

 ごろん、と仰向けになって玲望は天井を見た。

 天井ではなく、そこに海があるというような視線で。

 なんだか懐かし気な視線。

 瑞希が合宿の話をしていて、小学生と海で遊んだという話をしたからだ。

 別に自慢するつもりではなかったし、玲望だってそんなふうには取らなかっただろう。

 けれど、自分にあって、玲望にないもの。

 それがもうひとつ、膨らんでしまった。

「……じゃあ、行ってみるか?」

 口に出してから、自分で驚いた。

 行ってみる、なんて。

 勿論、どこに行ってみるかなど言うまでもない。

 だが、それだけに突飛すぎるだろう。

 玲望は顔をこちらに向けたけれど、きょとんとしていた。

「どこに」