しかし玲望はまた笑ってくる。

 さっき、ドレッシングのとき笑ってきたのとまったく同じ笑い方だった。

「冗談に決まってんだろ」

 からかわれた。

 瑞希は理解して、憮然とした。

 まったく、せっかく買ってきてやったというのにからかうなど。

 でも、すぐに「まぁいいか」なんて思ってしまった。

 普段ツンとしがちな玲望が、冗談を言うほど上機嫌なのだ。

 それは瑞希が夕食を作ってきたことも、アイスを差し入れたことも、嬉しく思ってくれたからに決まっていて。

 そんな様子を見せてくれるなら、機嫌を悪くすることではない。

 むしろ逆であるともいえる。

「ん! 美味い。夏に食っても美味いな」

 はむっと噛みついて、玲望は顔をほころばせた。

 今度は『美味しいものを食べた幸せ』というのが全開の笑顔。

 無邪気ともいえるものだ。

「アイスだからな」

 瑞希もそれにほっとしつつ、もうひとつのピックを取って、刺した。

 落とさないよう気を付けつつ持ち上げる。

 玲望が『夏に食っても』と言った通り、このアイスは何故か冬に人気があるらしい。

 テレビなんかのCMも冬のほうが多いのだ。

 まぁ、白くてもちもちしていて餅のようだし、白い粉が上にかかっているので、雪のように見えるからだろう。

 噛めばもちっとした表面の心地良い嚙み心地が伝わってきて、瑞希の顔もほころばせた。

 その中にはひんやりした、甘いアイスがくるまれている。

 二人とも食べるのに夢中になって、数秒その場は無言であった。

 けれど小さいのだ。

 すぐになくなってしまって、「ごちそうさま」となった。

 ちょっと物足りない気がしなくもないけれど、夕食で腹は膨れているのだ。

 デザートにはちょうどいい。