「へー、気が利くじゃん」

 ぺりぺりとアイスの蓋を開けつつ、玲望の目はきらきらしている。

 瑞希が「バイトお疲れさん」と差し出したアイスである。

「さんきゅー」なんて軽くお礼を言って、玲望はアイスがなんなのかを確かめたあと、蓋を開けはじめたのだ。

 昼間、玲望と出くわしたコンビニで買ったもの。

 の、うちのひとつ。

 アイスはコレと、もうひとつ買った。

 そのもうひとつはとっくに瑞希が家で食べてしまったけれど。

 そりゃあそうだ、アイスを買いに、わざわざ暑い中コンビニへ行ったのだから。

 すぐに食べたかったに決まっている。

 だけどせっかくあそこで会ったのだ。

 ついでに差し入れにすることを思いついたのである。

「でもなんか悪いな、夕飯までご馳走になったのに」

 あんな欠点だらけの料理だったというのに、玲望はご馳走になった、なんて言ってくれる。

 それが玲望の優しいところ。

「いいや。それに半分は俺が食うし」

 瑞希はそれを流して言った。

 そう、このアイスは二人でシェアして食べられるもの。

 丸い餅のようなものが、ふたつ入っているのだ。

 ぎゅうひでバニラアイスをくるんだもの。

 もちもちとした食感が美味しくて、玲望はこれが好きなのだ。

 贅沢をしないので、自分ではめったに買わないけれど。

「え、そうなのか。てっきり俺が全部食っていいのかと」

 なのに、玲望は付属のピックをひとつに刺しつつしれっと言った。

 瑞希はそれに慌てる。

「おい!? 図々しいな!?」