やらかした、という声を出した瑞希に、玲望は声をあげて笑った。

「相変わらず瑞希の料理は雑だなぁ」

 でもそのあと、立ち上がって、言った。

「わかった、なんかドレッシング作るわ」

 それでキッチンへ向かう。

 玲望の家にはドレッシングというものがないのだ。

「すぐできるし」と、醬油やみりん、あと油となんだかを混ぜて、パパッと自分でブレンドしてしまう。

 それは市販のものよりずっと美味しいのであった。

 今日もそのとおり、ものの三分ほどで小さな深皿に入れたドレッシングがやってきた。

 今日は洋風に、マヨネーズがメインのようだ。

 シーザードレッシングに似ている、と瑞希は思った。

 それでサラダもやっと完成形になり、食事も進んでいった。

 ほかには瑞希の母が、家の夕食に作っていたひじきの煮物を少し分けてもらってきたものと、あとは冷蔵庫にあった煮卵のパックを頂戴してきたりしたものが並んでいた。

 玲望は遠慮なくそれらに箸を伸ばして、どんどん平らげていった。

「しかし、誰かの作ってくれたメシってのはいいもんだ」

 玲望はあれこれ言ってきた割には、嬉しそうにもりもり食べてくれる。

 その中でそう言った。