ざくぎりのキャベツだ。

 タレと絡めて炒めたもの。

 どう見ても立派な野菜炒めだけど、と瑞希は思った。

「なんか見慣れないもんが入ってる」

 ああ、なるほど。

 確かにちょっと変わったものを使った、と瑞希は『見慣れないもん』を摘まみあげて正解を言った。

「ああ、かまぼこ。肉がなかったから」

 細く切った、白いかまぼこ。

 そのままの形から切った上に、タレと絡んで色もわかりづらかったから、そりゃあ『見慣れないもん』でも不思議はない。

「ふーん。……ん、甘辛いな」

 ぱくりとキャベツを口に入れて、もぐもぐと噛む。

 噛み締めて、感想を言った。

「なかなか上手くできただろ」

 火もちゃんと通ったことを確認した。

 逆に焦げてもいない。

 普段、ほとんど料理をしない瑞希にとっては立派に上出来な料理だったけれど。

 玲望はもうひとつ摘まんだ。

 今度はそのにんじんをそのまま食べるのではなく、ご飯の上に乗せて、それから白ご飯と一緒に持ち上げた。

「まぁ、悪くはないけど、ちょっと味が濃いな」

 褒められたのか、否定されたのか。

 どっちとも取れずに瑞希は「そうか?」と曖昧に返してしまった。