玲望と初めて会ったときのこと。

 瑞希はよく覚えている。

 なにしろ衝撃的だったのだ。

 二年前、瑞希がまだ一年生の頃のゴールデンウィーク明けのことだった。

 入学してすぐボランティア研究部に入っていた瑞希はその日、裏庭の清掃担当に宛てられていた。

 ボラ研の活動にも少しずつ慣れてきて、ゴールデンウィークに開催した小学校でのドッジボール大会でも活躍できて、単純なことに部活がそれでいっそう楽しく感じてしまったのもある。

 よって、ただの放課後、ただの裏庭の清掃でも、うきうきとして向かってしまった。

 その裏庭。

 茂みに似合わぬものが見えた。

 つやつやした金色が太陽に照らされて、太陽よりもっと輝いていた。

 綺麗だった。

 綺麗ではあるが……持ち主は茂みの前にしゃがみこんで、なにか草を弄っていたのが謎であった。

「なにしてるんですか?」

 相手が何者なのかわからなかった瑞希は敬語で話しかけた。

 先輩であったらため口をきくわけにはいかないし。

 こちらに背を向けてなにやら手を動かしていた相手は、びくりと肩を震わせた。

 ばっと振り返る。

 その顔を見て、瑞希は何故かどきりとしてしまった。

 はじめに目についたのは(みどり)の目。

 新緑の色をしているその瞳はきらきらしていて宝石のようだった。

 くりっと丸い目で、まだあどけない様子をしているところもかわいらしい。

 女の子のようには見えないけれど、まだ中学を卒業して二ヵ月も経っていないのだ。

 子供らしさが残っていた。

 とてもかわいかったけれど……ただ、ときめききれない要素はあった。

 口に草を咥えているという、かわいげも艶もまるでない様子だったのだから。