そして放課後…
支度を済ませ顔を上げると、悠真とばっちり目が合う。


「凜!帰ろうぜっ!」


この瞬間が恥ずかしくてたまらない。

嬉しいのを必死で抑えながら適当に返事を返せば、前にいる悟が振り返りニコニコ笑いながら「頑張れ」と口パクで伝えてきて余計に恥ずかしくなる。


「んふっ…じゃあおっ先ぃー!!」

「あっ、悟っ!?っんだよあいつ…最近付き合い悪くね?」

「彼女でもできたんじゃね…?」

「えっ!まじかよぉーっ!」


適当な嘘をついて教室から出ると、悟の彼女ってどんな子だろうな、なんて興味ありげに聞いてくる悠真は、やっぱりどう考えても女が好きなわけで、俺が入り込める隙なんて1ミリもない。

「頑張れ」なんて言われたって、何をどう頑張ったらいいのか。

俺はそんな事をぼぉっと考えながら、缶コーヒーを飲みながら片手をポケットに突っ込み歩く悠真を、無意識に見つめていた。

相変わらず、今日もかっこいいなぁ…


「ん?飲む?」

「あっ、いや……うん…////」


あまりにもじぃーっと見ていたのが物欲しそうに見えていたのか、悠真が缶コーヒーを俺の目の前に差し出してきた。

俺は、何でもないような素振りで悠真が飲んだ後の缶コーヒーを口に含む…

前まで普通に出来た事も意識すればするほど恥ずかしくて、それを悟られないように何でもない振りするのが精一杯だった。