それからというもの、いつも3人でいた帰り道は悠真と俺二人きりになってしまい、その気まずさに耐えられず昼休みに悟を捕まえて説得を試みた。


「悟っ!頼む…っ!頼むから今まで通り俺らと一緒に帰えってくれ…!」

「えー、なんで?」

「や、だって…悠真が悟の事気にするし…」

「でも凜ちゃん悠ちゃんの事好きでしょ?」

「え…っ////」


思わぬ返答に心臓が跳ね上がり、悟に気付かれてた事に驚きを隠せなかった。

図星も図星…
恥ずかしくて顔が熱くて思わず俯き、悟の制服の裾を掴んだ。


「…っ、だったら、余計にやめてくれ!頼むから2人きりにしないで欲しい…っ」

「俺…お前に振られたんだよ?」


そう言って俺の手を掴んだ悟は、子犬のように大きな瞳を揺しながら覗き込んできて、俺はハッとしてそれ以上お願いできなくなってしまった。

そうだよな…もし俺が悟の立場だったら…
そんなの拷問だよな。


「ごめん…悟、俺…っ、自分の事しか考えてなかった…」

「ううんっ、気にすんなよっ!たまにはまた一緒に帰ろうなっ♡」

「うん…っ、ありがとう…」


そんな事があったせいか、午後の授業は前にいる悟と遠くの斜め前の悠真の事が気になって気になって、授業になんか全く集中できずに諦めてノートと教科書を閉じてずっと外を眺めていた。