そんな俺らはいつものように街に繰り出し、悠真を先頭に3人組の女の子に声をかけゲーセンで一通り遊び尽くすと、その後はみんなでカラオケ。

俺からしたら、何が悲しくてわざわざ興味のない女なんかひっかけて遊ぶんだって話だけど…

まぁ2人が楽しいならそれで良いんだ。

お前がそうやって楽しそうに笑ってる…
それだけで嬉しいから。

そんな密かな想いを募らせながら、一つ飛ばして向こうの席の悠真の横顔を眺めていた。

遊び終わって3人で歩く帰り道、坂の手前で悟と別れ、悠真と2人きり…

俺は学校にいる時間より放課後より、この時間が何より好きだ。


「まだなんか寒いよな」

「うん、そうだな」


悠真が白い息を吐き、手を擦り合わせ少し身震いする。

もし今、俺がその手を掴んだら…お前はどう思うだろうな。


あと1ヶ月で卒業…

悠真とは進路も違うし卒業したらもう会わなくなれば、こんな感情忘れちゃうのかな…
なんて少し感傷に浸ったりもするけれど、何かをはっきりさせようなんて勇気は俺には更々ない。

手を繋ぐことさえ出来なくても、最後まで友達のままで…
卒業するその日まで、俺はお前の親友として隣にいようって決めたから。


「じゃ、また明日な」

「おう、また明日」


あともう少しでこの二人の時間も終わりか…
俺のこんな気持ちに気付かなくたっていい。

いつもと変わらない別れ方で、いつものように手を振る悠真の後ろ姿を、今日はいつもより少し長く見送った。