そのうちにホームルームが始まりやっと学校が終わると、俺たちは残りわずかになってきた放課後の時間をどう過ごすか相談する。

とは言え、する事なんて何にもないんだけど…


「凜ちゃーん、今日何する?」

「うーん、別になんでも」

「ゲーセン行こうよ!ゲーセン!!」

「俺あんま金ないよ?」

「大丈夫!悠ちゃんがいれば何とかなるって!!」


悟が悠真(ゆうま)の元に走りよって行けばすぐに交渉成立したようで、斜め前の席で二人は盛り上がっている。

俺が悠真と仲良くなったきっかけは悟だった。

悠真と悟が同じ中学で仲が良かったから、1年の途中くらいから良く3人で遊ぶようになったんだ。

でも悠真は3年間バスケ部で俺と悟は帰宅部だったから、放課後は悟と二人で遊ぶ事が多かったけど、悠真が部活を引退した今は、特別な用事がない限りほぼ毎日3人一緒だった。

悠真に彼女ができるまでは…


「おーい凜、また寝てたの?」

「あの席無理」

「凜ちゃんは別の席だって寝ちゃうじゃんっ」

「ははっ、だよなぁ~」


それ、その笑い方…
お前が笑うとみんな釣られるように笑うんだ。

優しくて面白くて、だから女にもモテちゃうんだよな…


「悠真、今日予定ないの?」

「あぁ、今日はフリー!だから…やっちゃいますかっ♡」

「にひっ!いいねっ、悠ちゃんにかかれば誰でもコロっと引っかかっちゃうもんねっ♡」

「おっけぇ~任せろっ!」


彼女がいてもいなくても、悠真はいつでもこんな感じ。

もし…もしも俺が悠真と付き合ったらさ、俺もこんな風に振り回されんのかな。

俺、お前が他の奴と遊んでるところとか見たら結構ショックだけどな…
なんて、ありもしない妄想が頭をよぎる。


「お前さぁ…いい加減やめれば?彼女大丈夫なのかよ…」

「バレなきゃいいんだって!なぁ?」

「えぇ!?俺は知らんけどなっ!」


よくある男子高生の日常、よくある光景。

傍から見れば普通に仲の良い男友達同士にしか見えないだろうな。