遂に卒業まであと一週間を切った。

前に悟に言われた事が気になって悠真に視線を向ければ、その度にかち合う視線に俺はドキドキしっぱなしだった。

俺の事、本当に見てんのかよ…

でも恥ずかしくてずっとなんか見てらんなくて、わざと目を逸らし外に視線を移した。


その日の放課後…

我先にと教室を出ようとした俺の前に悠真が立ちはだかり、無理やり腕を掴まれ屋上に連れていかれた。


「なぁ、凜…」

「…っ、んだよ…」

「あのっ…お、俺さ…また、凜と仲良くなりたいっ!ダメっ…かな…?」


真剣な顔をして何を言い出すのかと思えば、高校生の会話とは思えないほど幼稚なセリフに、思わず吹き出してしまった。


「ぷっ…なんだよそれ」

「なっ、笑うなよっ!結構真剣なんだから…」

「…ごめん」


確かに…今まで通りは無理と突き放したのは俺で、悠真は何も悪くない。

でも、俺があんなに煽ったのにも関わらず、今更また仲良くなりたいなんてどう言うつもり?

俺は悠真の本心が知りたくて、わざと突き放すように心がけながら話を聞いた。


「や、その…俺あれからどうしたらいいかわかんなくて。離れてからもずっと凜のこと気になって…だから…っ」

「気持ち悪くねぇの?」

「えっ…」

「お前の事好きなんだよ?恋愛感情で。前にも言ったじゃん」

「わかってるよ…っ!でもこのまま卒業なんて俺、嫌なんだよっ…」

「悠真…」

「ごめん…お前の気持ち知ってて、こんなの我儘だよな…でも頼む…っ!一生のお願いっ!」


顔の前で手を合わせ、おふざけ無しの真剣な悠真に心が揺れる…

俺も嫌だよっ…このままなんて本当は嫌だ。

平気なフリして突き放すように心がけても、やっぱり悠真と一緒にいたい気持ちが込み上げてくる。


「分かったよ、分かったから…」

「ほんと!?」

「…うん」

「はぁ、よかったぁ…」


一生のお願いだなんて言われて、突き放せるほど俺は強くねぇよ。

それに、そんなにも必要とされてるなんてぶっちゃけ照れくさくて、例え俺と同じ気持ちじゃなかったとしても、後ちょっとの短い間、楽しもうと決めた。


それから俺らは前みたいに休み時間を一緒に過ごし、一緒に帰り放課後遊んだりと、毎日悠真と一緒に過ごした。

たまに近くなる距離に戸惑ったり、思わず触れた手を隠してみたり、少し胸が苦しくなる事もあったけどそ、れでもやっぱり離れているよりはマシだった。

だけどその分…
好きの気持ちは増していった。

だから俺は決めたんだ。

卒業したらもう、会わないって…