あれから凜に無視され続け、目すらも合わせて貰えない。

悟と凜は相変わらず仲が良くて羨ましくて、本当は俺も仲間に入りたいのにそんなことできる訳もなくて、クラスにいるのがしんどくなって、休み時間の度に尚人の教室に行ってため息をついていた。


「はぁ…」

「まぁた、ため息ついてるぅ」

「だってさぁ?俺も一緒に遊びたいんだもん…」

「遊ぼうって言えば?」

「言えるわけねぇだろ?無視されてんだから…」


一緒に遊びたいのに遊べないなんて、会話だけ聞いたら小学生みたいな悩みだ。

だけど俺は真剣に悩んでいる。
だってもう卒業まであと何日もないのだから。


「気まずいだけじゃない?」

「ん…俺ね?仲直りする為にどうしたらいいか考えたんだよ…友達がダメならマジで付き合ってみるってのもありかなって…」

「おぉ…」

「そんでこの前、凜に提案してみたの…」

「えっ、それで?」

「うん、じゃあキス出来んのか?って凜に言われて、ヒヨってさ…あぁ俺、やっぱダメかもって…」

「んぅ…」


ぱぁっと明るくなった尚人の表情は、一瞬にしてまた曇った。

尚人…お前だったら躊躇なくいけたんだろうな。

やっぱり俺は凜の事、普通の友達以上には思えないんだろうか。
だけど…


「最近な、凜と悟見てっと仲良いのが羨ましくてさ…距離感バクってるし、何かこう…モヤモヤするってか…やっぱ凜の事取られたくないっつぅか…」

「それって嫉妬?」

「うーん…なのかなぁ…」

「保住先輩の事好きなんじゃないの?」

「うーん…けど、相手にして貰えないせいで、完全に感情バグってんのかなぁとかさ…それにもう俺嫌われてるし?なんかオワコンじゃん」


凜の事は前から好きだよ…?
好きは好きなんだけど、俺にはその好きが何の好きなんだかもうわかんないんだよ。


「うーん、てかさ?」

「ん?」

「保住先輩に悟くん取られたくないから、さっさと引き離してよ」

「えっ!?無理だよそんなの…っ」

「悟くん、保住先輩の事好きなんだよ?」

「…っ、そう、だよな…」


悟は凜のことが本気で好きなんだ。
凜を悟に取られる…!?
そう思ったら何故か胸の奥がズキだと痛んだ。