「…っ、分かってる、分かってるよ。俺もめちゃくちゃ考えた。その…男同士のそういうのは正直よくわかんねぇけど…でも、結局辿り着くのは、どんな凜でも俺は凜が好きだって…俺はお前が好きだって事なのっ…だから…っ」

「だから…何?友達として仲良くしてって事…?」


悠真が俺を必要としてくれればくれるほど苦しい…
苦しくて苦しくて仕方ないっ。

どんなに悠真が俺の事好きでいてくれても、その好きだけじゃ俺は全然満たされない。


「友達が無理なら…俺っ、凜なら付き合える…と思う」

「は…?」


何言ってんの…?
絶対そんな事あるはずないじゃん…

考えすぎておかしくなったのか、お人好しにも程があるだろ?

付き合える…本来なら舞い上がるくらい嬉しい言葉かもしれないけど、下を向いたまま目も合わさない悠真の腕は少し震えてて、誤魔化すの下手すぎだろ?

もういいよ…悠真―――


「お前…無理しすぎだろ…」

「むっ、無理なんかしてない!ちゃんと考えて…」

「だったら…っ、だったら俺とキス出来んのかよ…っ!」


悠真の腕を掴む両手に力を込めて立ち上がり、わざと目を合わせるように下から覗き込み鼻を突き合せた。


「ほら…してみろよ」

「…っ、ま…」


明らかに動揺する悠真は目を瞑り俯きながら、俺の胸の辺りにトンっと触れた。


「は、ははっ…だろ?こんな事で動揺してたら付き合うなんて無理だろ…」

「ちがっ…急にはっ…そのっ…」

「お前…その先の事考えてる?」

「えっ…」

「出来んのか?俺と…」


明らかに動揺を隠せないでいる悠真は、俺から目を逸らしさっきの勢いはどこへやら、黙ったまま何も答えない。


「出来んのかって聞いてんのっ!!」

「…っ、わ、わかん…ない」


何言ってんだろ…俺…
自分で言いながら自分の首絞めて、悠真の事困らせて、だけどどっかで期待して…

いや、もういいんだ。
いっその事、立ち直れないくらい俺を軽蔑して、突き放してくらたらいい!


「悪りぃ…言いすぎた。無視してたことは謝る。けど…俺、こんなんだからさ…気持ち悪いだろ?…だから、今まで通り友達として仲良くは俺には無理かもしんない。だから…っ、ごめん…っ」

「おっ、おい!凜っ…」


掴んでた手を離し、溢れてくる涙を拭いながら悠真に背を向け学校を後にした。


卒業まであと、2週間―――