雨晴家を出発してから10分ほど経った頃、ふと思った。
(気まずいな…)
普段は瑠璃華や羅華、ユキといるため、変に気を使うこともなくとても気楽なのだ。しかし、メア家との関わりといったら任務くらいなので話すことも思いつかない。いっそこのまま寝てやり過ごそうか、そう思った時ツキが珍しく私に言葉を発した。
「昨日…4人で何やってたの?」
「えっ?」
驚きすぎてこんな単純な言葉すらも瞬時に理解することができない。
そんな私を見て、ツキが嫌そうに顔をしかめた。
「何、僕と話すのがそんなに嫌って?」
「ち、違う違う!その…なんで4人でいたって知ってるのかなって」
「私に話しかけてきた事にびっくりしたから」なんて言ったら余計に機嫌を悪くさせそうな気がして嘘をついた。けれどこの疑問も本当。
昔に嘘をつくのも大の得意になった。だからか、今もツキは疑う様子もなく話を続けた。
「昨日、任務のことで雨晴ボスに呼ばれた。その後ユキが華恋に会うって言ってたの思い出して君の部屋の前まで行った時に4人の声が聞こえたから」
(私のこと心配してくれたの…?)
とっさにそう思ったが、そんなことをツキがする必要がない。それにツキはとにかく他人に興味がないからそんなことはありえないだろう。
「そっか」
そっけない返事をした後ツキが何か言っていた気がする。
「心配くらいするでしょ…」
ボソッとツキが言った事に私は気がつかなかった。
ッキ!
約1時間後に車が停まった…つまり目的地についたようだ。
「そう言えば私、目的地がどこか知らないわ。迎えに行くとしか言われてないから…」
すぐそばにいたツキにとりあえず疑問を投げかけてみる。一瞬嫌そうにしたが、1人で納得したように頷いてから答えてくれた。
「スカイ学園の寮。僕達は3階の部屋だって」
「?『僕達』ってみんな同じ部屋なの?」
寮っていうのは1人1部屋だと思っていた。それに、年頃の男女が同じ部屋っていうのも不思議だ。
「そうだってよ。まあ、個人部屋が1人1人あるみたいだし安心して」
「えっ?!あ、うん!」
今のは本当に焦った。感情を出さぬよう教わってきたので、なかなか私の心を読める人物などいないから。それにしても、動揺しすぎた。あんなにも感情を出したのは何年ぶりだろうかと思うほどに。
「おーい!こっちこっち!」
寮の方から誰かを呼んでいるような声が聞こえた。まだ寮へは距離があるので、そこに立っている人物の顔はよく見えない。しかし、今の声から察するに…
『ユウうるさ』
私とツキの声が重なり、顔を見合わせる。その時見た表情は一度も忘れた事がない、ツキが私に見せてくれたとても穏やかで優しい笑顔だった。
(気まずいな…)
普段は瑠璃華や羅華、ユキといるため、変に気を使うこともなくとても気楽なのだ。しかし、メア家との関わりといったら任務くらいなので話すことも思いつかない。いっそこのまま寝てやり過ごそうか、そう思った時ツキが珍しく私に言葉を発した。
「昨日…4人で何やってたの?」
「えっ?」
驚きすぎてこんな単純な言葉すらも瞬時に理解することができない。
そんな私を見て、ツキが嫌そうに顔をしかめた。
「何、僕と話すのがそんなに嫌って?」
「ち、違う違う!その…なんで4人でいたって知ってるのかなって」
「私に話しかけてきた事にびっくりしたから」なんて言ったら余計に機嫌を悪くさせそうな気がして嘘をついた。けれどこの疑問も本当。
昔に嘘をつくのも大の得意になった。だからか、今もツキは疑う様子もなく話を続けた。
「昨日、任務のことで雨晴ボスに呼ばれた。その後ユキが華恋に会うって言ってたの思い出して君の部屋の前まで行った時に4人の声が聞こえたから」
(私のこと心配してくれたの…?)
とっさにそう思ったが、そんなことをツキがする必要がない。それにツキはとにかく他人に興味がないからそんなことはありえないだろう。
「そっか」
そっけない返事をした後ツキが何か言っていた気がする。
「心配くらいするでしょ…」
ボソッとツキが言った事に私は気がつかなかった。
ッキ!
約1時間後に車が停まった…つまり目的地についたようだ。
「そう言えば私、目的地がどこか知らないわ。迎えに行くとしか言われてないから…」
すぐそばにいたツキにとりあえず疑問を投げかけてみる。一瞬嫌そうにしたが、1人で納得したように頷いてから答えてくれた。
「スカイ学園の寮。僕達は3階の部屋だって」
「?『僕達』ってみんな同じ部屋なの?」
寮っていうのは1人1部屋だと思っていた。それに、年頃の男女が同じ部屋っていうのも不思議だ。
「そうだってよ。まあ、個人部屋が1人1人あるみたいだし安心して」
「えっ?!あ、うん!」
今のは本当に焦った。感情を出さぬよう教わってきたので、なかなか私の心を読める人物などいないから。それにしても、動揺しすぎた。あんなにも感情を出したのは何年ぶりだろうかと思うほどに。
「おーい!こっちこっち!」
寮の方から誰かを呼んでいるような声が聞こえた。まだ寮へは距離があるので、そこに立っている人物の顔はよく見えない。しかし、今の声から察するに…
『ユウうるさ』
私とツキの声が重なり、顔を見合わせる。その時見た表情は一度も忘れた事がない、ツキが私に見せてくれたとても穏やかで優しい笑顔だった。