「サラ、大丈夫かな?」
 私は閉まった扉を眺めながら、隣にいるリーシャに尋ねた。
「どうだろ……部屋の中から悲鳴とか聞こえるけど……」
 それにしても、まさかサラがルームメイトと過ごしていたなんて。
 十歳年上でボーイッシュなサラは、私にとってお姉さんみたいな人だ。
 リーダーは私だが、細かい気配りや調整などはサラが率先してやってくれ、本当に助かっている。
 私とリーシャにとっても、心の支えで、実は甘えるのがかなり心地良い。
 そんなサラが、強烈に悲鳴を上げているなんて、一体あの中で何が――
 ガチャ……!
 扉が開く。
 私とリーシャは、心配のあまり、身を乗り出すように視線を投げると――
「わ、私を……見ないで……くれ……」
 ピンクの花柄ワンピースを着たサラが、真っ赤な顔をして俯いていた。
「――っ!?」
 心の奥で、ズキューンと何かが心臓を打ち抜いた。
 あのボーイッシュでクールなサラが、花柄のワンピース……しかも、ふりふり……そして、スカート!
 あぁ、リボンだ……リボンがある! 何て、ことだ……!
「お、お、お、お……」
「あ……ああ……あああ……」
 私とリーシャは目を見開いたまま、言葉にならない悲鳴を上げ続けていた。