あの格好で弱かったらめっちゃダサいじゃん。

と思ったが、相良さんは見掛け倒しではなかった。

決して大きくはない体躯だけれど、その足さばきと剣速は風よりも早く、相手の面や胴をスパンスパンと打つ。

彼と対峙したすべての選手が、一分以内に二本とられて敗北していた。

つっっっっよ。

幸いにも彼らと当たらずして負けた俺たちは、その試合を外野から見て呆気に取られていた。

個人戦、絶対にあの人とは当たりたくねえ～……。

その願いは叶い、俺は相良さんとは別のリーグに入れられたのだった。

「あれでまだ二年だもんな～」
「小池くんは来年当たる可能性があるな」
「やーだやだ。やめてくださいよー」

俺、小池涼太(こいけりょうた)はいつまでたっても成長期が来ない、ちびでひょろひょろの見た目激弱選手。たぶんこの会場で一番小さい。

唯一スピードだけが武器だけど、相良さんに勝てる気は全くしない。