瞬のお父さんは、元旦の話し合いの後に病院と交渉した結果、休みが増えたらしく、オレが瞬と一緒に夕飯を食べる日は正月休み明けから徐々に減っていったけど、お父さんと過ごせる時間を着実に積み重ねていく瞬は、もう壊れそうには見えなかった。
時間は少し遡るが、瞬は元旦以降、毎週末オレの家に泊まりに来るようになった。
オレじゃなくて母ちゃんと交渉したらしく、二つ返事でOKをもらったらしい。
「というわけで、今日から毎週金曜日はワタルの家に泊まるね」
「お前の交渉力、すげえわ。
今日ってまだ三が日だぞ……。
いや、いいけどさ」
寝るとき、いつものようにハグをしようとすると、瞬から提案を受けた。
「今日はワタルが俺のことを後ろからハグしたまま寝てみるのはどう?」
「瞬はそれでいいの? 寝れる?」
オレが抱き枕代わりを抱いても意味ないような。
寝れないのは瞬なのに。
「分かんないから、やってみよ」
クリスマスのことを思い出し、仕返しとばかりに同じことを瞬に対してやってみることにする。
後ろからハグしながら、自分の顔を瞬の首筋につけて、大きく息を吸い込む。
オレんちのボディソープを使ってオレの寝間着を着ているのに、全然違う匂いがする。
「んー、いい匂い……」
ぎくりと瞬の身体が固まり、
「……ワタルどうしたの?」
困惑したようにつぶやく。
「これ、クリスマスにハグしたまま寝たときに、お前がオレにしたことだよ」
「俺そんなことした?」
「したわ! そんで1分後に爆睡だったわ」
「覚えてないな……」
「あーやば、これ確かにすげー眠くなるわ……」
あったかいし、いい匂いだし、最高じゃん。
ふわりと意識が飛び、そして……。
気づいたら朝だった。
すっきりした気持ちで目覚める。
「瞬、聞いて!
めちゃくちゃ深く眠れた!
オレ、すげー寝起きがいい!」
興奮しながら話しかける。
「俺は最悪だよ。全然眠れなかった……」
瞬はげっそりした顔でそう言った。
「ごめんな、瞬のためのハグなのに……」
「しかもトイレに行った後戻ってきたら、ワタルに俺の指を舐められたりかじられたりしたよ。
もぐもぐして『おいしい!』って言ってた」
「夢の中でアイスとかおいしいお肉を食べた記憶あるわ……。
ほんとごめん」
謝ったものの、なぜオレの口元に瞬の指があったのかについては分からなかったけど、単に寝るときの手の位置の問題かなと深く考えることはしなかった。
時間は少し遡るが、瞬は元旦以降、毎週末オレの家に泊まりに来るようになった。
オレじゃなくて母ちゃんと交渉したらしく、二つ返事でOKをもらったらしい。
「というわけで、今日から毎週金曜日はワタルの家に泊まるね」
「お前の交渉力、すげえわ。
今日ってまだ三が日だぞ……。
いや、いいけどさ」
寝るとき、いつものようにハグをしようとすると、瞬から提案を受けた。
「今日はワタルが俺のことを後ろからハグしたまま寝てみるのはどう?」
「瞬はそれでいいの? 寝れる?」
オレが抱き枕代わりを抱いても意味ないような。
寝れないのは瞬なのに。
「分かんないから、やってみよ」
クリスマスのことを思い出し、仕返しとばかりに同じことを瞬に対してやってみることにする。
後ろからハグしながら、自分の顔を瞬の首筋につけて、大きく息を吸い込む。
オレんちのボディソープを使ってオレの寝間着を着ているのに、全然違う匂いがする。
「んー、いい匂い……」
ぎくりと瞬の身体が固まり、
「……ワタルどうしたの?」
困惑したようにつぶやく。
「これ、クリスマスにハグしたまま寝たときに、お前がオレにしたことだよ」
「俺そんなことした?」
「したわ! そんで1分後に爆睡だったわ」
「覚えてないな……」
「あーやば、これ確かにすげー眠くなるわ……」
あったかいし、いい匂いだし、最高じゃん。
ふわりと意識が飛び、そして……。
気づいたら朝だった。
すっきりした気持ちで目覚める。
「瞬、聞いて!
めちゃくちゃ深く眠れた!
オレ、すげー寝起きがいい!」
興奮しながら話しかける。
「俺は最悪だよ。全然眠れなかった……」
瞬はげっそりした顔でそう言った。
「ごめんな、瞬のためのハグなのに……」
「しかもトイレに行った後戻ってきたら、ワタルに俺の指を舐められたりかじられたりしたよ。
もぐもぐして『おいしい!』って言ってた」
「夢の中でアイスとかおいしいお肉を食べた記憶あるわ……。
ほんとごめん」
謝ったものの、なぜオレの口元に瞬の指があったのかについては分からなかったけど、単に寝るときの手の位置の問題かなと深く考えることはしなかった。