「え? うん、まあね」
すると、伴さんは凛としたほほえみを浮かべた。
「つらいときに甘いものを食べると、少し元気が出るから。これで少しは戦えるでしょ」
「出た! なっつかしいー、そのフレーズ。伴さん、昔あたしにナプキンくれたときもそう言ったよね」
けれども、伴さんは「ん?」と眉をひそめて。
「そんなことあったっけ?」
「えーっ、覚えてないの!? だって、そのときの恩を返してってあたしんとこにやって来たんでしょ?」
伴さんは腕組みしてなにやら深く考えこんだあと、
「これはきちんと誤解を解いておく必要がありそうね」
……誤解?
ドタバタのクリスマスイヴがサンタクロースも来ないまま幕を閉じ、いよいよ年末が近づいてきたある日。
「ちょっと寄ってもいい?」
と、伴さんから連絡を受けたのだけど。
「え……?」
あらわれた伴さんは、背中あたりまで伸びていた髪をバッサリとショートヘアにしていた。
「どうしたの? ずいぶん切ったね。一瞬誰か分からなかった――」
んんん?
髪を短く切ったことでいっそうキリッとした顔立ち。首元を包むダークカラーのフェイクファーに、長身を包むシャープな黒のスーツ。
妙だな、なんか既視感がある。え、ウソだ。ウソでしょ!?
「あたし、目がおかしくなったのかな。伴さんが昔助けてくれたイケメン男子に見えるんだけど」
なんで??? と混乱しているあたしの頭を、伴さんはペシッとはたいて。
「やっと思い出したわね」
えええーっ!?
「だ、だって伴さん女性……」
どゆこと? と首をかしげるあたしに、伴さんは恥ずかしそうにつぶやいた。
「あたし、中学のとき演劇部だったの」
当時は自分の出し物に集中してたから全然気づいてなかったけれど、伴さんは演劇部でその背の高さから男役を担当してて、まわりからめちゃくちゃ評判がよかったらしい。
「なるほど、それで『華サマ』」
みやびたちから推されてたわけだ。
すると、伴さんは凛としたほほえみを浮かべた。
「つらいときに甘いものを食べると、少し元気が出るから。これで少しは戦えるでしょ」
「出た! なっつかしいー、そのフレーズ。伴さん、昔あたしにナプキンくれたときもそう言ったよね」
けれども、伴さんは「ん?」と眉をひそめて。
「そんなことあったっけ?」
「えーっ、覚えてないの!? だって、そのときの恩を返してってあたしんとこにやって来たんでしょ?」
伴さんは腕組みしてなにやら深く考えこんだあと、
「これはきちんと誤解を解いておく必要がありそうね」
……誤解?
ドタバタのクリスマスイヴがサンタクロースも来ないまま幕を閉じ、いよいよ年末が近づいてきたある日。
「ちょっと寄ってもいい?」
と、伴さんから連絡を受けたのだけど。
「え……?」
あらわれた伴さんは、背中あたりまで伸びていた髪をバッサリとショートヘアにしていた。
「どうしたの? ずいぶん切ったね。一瞬誰か分からなかった――」
んんん?
髪を短く切ったことでいっそうキリッとした顔立ち。首元を包むダークカラーのフェイクファーに、長身を包むシャープな黒のスーツ。
妙だな、なんか既視感がある。え、ウソだ。ウソでしょ!?
「あたし、目がおかしくなったのかな。伴さんが昔助けてくれたイケメン男子に見えるんだけど」
なんで??? と混乱しているあたしの頭を、伴さんはペシッとはたいて。
「やっと思い出したわね」
えええーっ!?
「だ、だって伴さん女性……」
どゆこと? と首をかしげるあたしに、伴さんは恥ずかしそうにつぶやいた。
「あたし、中学のとき演劇部だったの」
当時は自分の出し物に集中してたから全然気づいてなかったけれど、伴さんは演劇部でその背の高さから男役を担当してて、まわりからめちゃくちゃ評判がよかったらしい。
「なるほど、それで『華サマ』」
みやびたちから推されてたわけだ。