「ずっと一緒に学校いこうね!」

 小学一年生の時に、同じクラスになった。たまたま一緒に帰ってきたら、なんと家が隣同士でびっくり。それが分かった時、森下 北斗(もりした ほくと)がオレに言ってくれた言葉がそれだった。

 小学校の登下校はいつも一緒だった。
 中学は、部活が違ったから、朝と、お互い部活が無い時が一緒。

 そして、オレは、その間ずっと、北斗のことが好きだった。

 友達じゃなくて……恋、してる。だって、ドキドキするから。
 多分、恋じゃなかった小学生の時から、もうずっとずっと、北斗が一番好きだった。
 恋になったのは多分、中学生くらいからかな……。

 でも、北斗を大好きな人も、恋してる人も、たくさん居る。

 カッコイイから、分かる。
 明るくて、優しくて。正義感が、強い。曲がったことが嫌い。
 皆が北斗を頼るし、それに余裕で応えるし。誰とでも話して、優しくする。
 先生達だって、北斗が好き。
 背も高いし顔もカッコイイし、声もよく通る、元気を貰える声。
 北斗の周りは、笑顔で溢れてる。

 オレにとって、太陽みたいな人だ。

 小一の時の初日にした約束なんかを、中学まで、守ってくれた。
 もちろん、嫌な顔ひとつしないで。

 とても楽しそうに。笑ってくれて。
 オレが、どんくさくて待たせても。北斗が仲の良い元気な子達と約束があっても。
 帰れる限り一緒に、帰ってくれた。

 行きは毎日。静かな方が歩きやすい、って北斗が言うので、他の子達より、十五分、早く家を出た。
 お母さんには、そんなに早く出たって正門開かないでしょって言われたけど、門が開くまで待ってるのも楽しかった。

 朝の、小学校までの十五分。中学までの二十分は、北斗を独占出来る、大切な時間だった。幸せな九年間だった。