門の付近で掃除をしているイザベラを見つけ、街に行こうとせがむ。

「お願い!イザベラ!!」
「ですが...、すみません。ミカエル様」
「ねーえ!!お願いイザベラ!!」
「申し訳ございません...」

 でも絶対にここで引き下がるわけにはいかない。今日はなんとしてでも絶対に。
 多少汚い手を使ってでも絶対に外に出るんだ!

「イザベーー」
「すみません」
「イザーー」
「ミカエル様?」

 なぜだ、イザベラが最後まで言わせてくれない。なんなら、さっきから圧を感じる。
 でも、負けない。息を思いっきり吸って____


「イザベラに1週間の休暇をあげるから今から街に行きましょ」

 なんとか言い切ることができた。これはもう、私の勝ちよ!

「もう、ミカエル様ったら仕方ないですね」
「ありがとう、イザベラ」

 やっぱりね。イザベラったら満面の笑み。でもそれはそれでなんだか複雑。


* * *


「やっぱり街はいいわね!」
「そうでーー」
「あ!イザベラ!!あれ買ってきて!!」
「...串焼きですか?」

 宮殿では食べたことがない珍しいものを見つけた。イザベラいわく串焼き、というものらしい。確かに名前の通り串に刺して焼いてある。

「多分それよ!!美味しそうだわ」
「......相変わらず食い意地が張ってますね」

 イザベラが何か言っていたが、何も聞かなかったことにしておこう。私のためにも、イザベラのためにも。

 それにしても、串焼きを売っているお店は並んでいて時間がかかりそう。よし、その間にやるしかない。人探し。
 そう決め、ドレスの上に羽織っていた上着のフードを深く被り記憶を辿りながらいそうな場所へ向かうことにした。


 1度目の人生で出会った時は、今日のこのくらいの時間帯。2度目の人生でも何度も街で見かけた。場所はたいてい噴水の前の広場。そして、毎回ピンクという目立つ色のドレスを着て、私の嫌いな大きなリボンを頭につけていたからから目立っていたわ。