「ーーーー、ーーーー様!ミカエル様!!」

 使用人の声に、徐々に夢から覚めていく。カーテンの隙間から差す朝日が眩しくて、暖かい。

 そんなこと今はどうでも良い。
 使用人に確認すべく尋ねなければならないことがある。

 
「イザベラ、私は今何歳?」
「7歳ですね」
 
 やっぱり、私は過去に戻ってきたんだ。2度目の人生、私は死んだ。つまりこれは3度目の人生ということになる。

 これは神から与えられたチャンス。


 3度目の正直、というものだろうか。
 今度の人生はなんとしてでも上手くやってみせる。

 そうと決まれば、まずは作戦を練るしかない。


「イーサン、頼みたいことがあるんだけど」
「ミカエル様、申し訳ありませんがお断りさせて頂きます」

 使用人に魔法学を学ぶために家庭教師を頼もうとしたが、勘の良いイーサンは早々に断った。
 でもここで簡単に引き下がるわけにはいかない。

「イーサン!私の言うことは絶対よ!」
「ミカエル様、お言葉ですがそんなことはありません」

 確かにそうなんだけど!そんなことわかってるんだけど!!
 自分で言っておきながらも、あまりにもイーサンの言ったことが正論すぎて何も言い返すことができない。

「〜〜っ、イーサン!!」
「なんでしょう」

 王族といえ子供だからと、イーサンには完全に舐められている。

 イーサンにはいくら言ってもきっと無駄だろう。頼み事をする目標を変えることにしよう。

「ねえ、イザベラ。ひとつ、お願いがあるんだけど」
「なんでしょう。私にできることならなんなりと」

 流石イザベラだ。私の思い通りの返事をくれる。イザベラは私が生まれて直ぐに専属でつけられた使用人だ。そして、私の1番の理解者でもあると思う。

「それじゃあ、明日までに私に魔法学を教えてくれる専属家庭教師をつけるようにお父様に伝えておいて!!」
「しかし、ミカエル様...!」
「なに?」

 イザベラはまだ何か言いたげだった。きっと反対派なのだろう。
 でもイザベラのことだ。きっとやってくれるだろう。

「なんでもありません。私にお任せください」
「ありがとう!」

 案の定、イザベラに頼んで正解だったようだ。
 あとは明日からの授業に備えて少し予習をしておけば準備は万全だ。