(────ヤバい・・落ちる!!)
だけどその時。
突如背中にパワーを感じて、俺は思わず振り返った。
(波が・・)
まるで後ろから支えるように、崩れた波が俺の背中を押した────・・
【着水・・成功! 汐見央選手、ここにきてプロ顔負けの見事なエアリバースを決めました!】
大会運営のアナウンスが昂揚した様子でそう告げたのだが、その声はその時の俺の耳には届いていなかった。
初めて成功したエアリアル。
その今まで味わった事の無い歓喜と興奮は、俺の中に燻っていた迷いもわだかまりも、全てを吹っ飛ばしてしまった。
残ったのはただ一つ。純粋な想い。
この興奮を一番に伝えたい相手。それは────・・
「────夏樹!」
スコアだとか勝ち負けだとか、依存だとか血の繋がりだとか。
もうそんなの全部どっかに飛んで行っていて。
俺は夢中でパドルした。先に沖で待つあいつの所を一心に目指して。
「夏樹・・! 俺・・初めてエアー成功した!!」
俺がそう告げると────あいつは珍しく眩しいくらいに笑って、俺に向けて手を上げたんだ。
それを見たときに全部分かった。こいつが欲しがってた正解はこれで。夏樹が求めていたのは最初からスポンサー契約なんかじゃなかった。
俺ももう間違えない。お前のお陰で色んな事に気づけたから。
だから俺はこれからもお前を追いかけて行くよ。ずっと兄弟であるお前の隣に立っていられる様に────。
俺は夏樹の上げたその手に、自分の手を当て打ち鳴らした。
【ハ・・ハイタッチ・・?】
会場が騒ついているのなんか梅雨知らず、俺は興奮冷めやらぬまま、夢中で夏樹に捲し立てていた。
「草加部さんに言われたんだけど、後ろ足で蹴り込む前に前足をグッと身体に引きつけとくんだよっ。そうするとボードが飛んでっちゃわないというか! こうグッと身体をたたむ感じ? 分かる?」
「ふーん・・俺も試してみようかな」
夏樹はそう言って、パドルを始めた。気がつくとその後ろに波が迫っている。俺はあいつの背中に向けて夢中で声をあげた。
「いけ夏樹〜!! ぶちかませ!!」
だけどその時。
突如背中にパワーを感じて、俺は思わず振り返った。
(波が・・)
まるで後ろから支えるように、崩れた波が俺の背中を押した────・・
【着水・・成功! 汐見央選手、ここにきてプロ顔負けの見事なエアリバースを決めました!】
大会運営のアナウンスが昂揚した様子でそう告げたのだが、その声はその時の俺の耳には届いていなかった。
初めて成功したエアリアル。
その今まで味わった事の無い歓喜と興奮は、俺の中に燻っていた迷いもわだかまりも、全てを吹っ飛ばしてしまった。
残ったのはただ一つ。純粋な想い。
この興奮を一番に伝えたい相手。それは────・・
「────夏樹!」
スコアだとか勝ち負けだとか、依存だとか血の繋がりだとか。
もうそんなの全部どっかに飛んで行っていて。
俺は夢中でパドルした。先に沖で待つあいつの所を一心に目指して。
「夏樹・・! 俺・・初めてエアー成功した!!」
俺がそう告げると────あいつは珍しく眩しいくらいに笑って、俺に向けて手を上げたんだ。
それを見たときに全部分かった。こいつが欲しがってた正解はこれで。夏樹が求めていたのは最初からスポンサー契約なんかじゃなかった。
俺ももう間違えない。お前のお陰で色んな事に気づけたから。
だから俺はこれからもお前を追いかけて行くよ。ずっと兄弟であるお前の隣に立っていられる様に────。
俺は夏樹の上げたその手に、自分の手を当て打ち鳴らした。
【ハ・・ハイタッチ・・?】
会場が騒ついているのなんか梅雨知らず、俺は興奮冷めやらぬまま、夢中で夏樹に捲し立てていた。
「草加部さんに言われたんだけど、後ろ足で蹴り込む前に前足をグッと身体に引きつけとくんだよっ。そうするとボードが飛んでっちゃわないというか! こうグッと身体をたたむ感じ? 分かる?」
「ふーん・・俺も試してみようかな」
夏樹はそう言って、パドルを始めた。気がつくとその後ろに波が迫っている。俺はあいつの背中に向けて夢中で声をあげた。
「いけ夏樹〜!! ぶちかませ!!」