彼は目を覚ますと、突然ガバっと身体を起こした。
「今何時!?」
「あ・・3時くらいですかね」
私の回答を聞くと、彼は手で顔を覆った。
「うわぁ・・めっちゃ寝てるし。ごめん俺最低。てゆうか起こしてよ!」
「大丈夫ですよ、ぼーっとしてるの好きなんで。央君の寝顔見て、ほっこりしてました」
そう言うと彼は顔を覆っていた手を外してこちらを見た後・・突然ガバっと私を抱きしめた。
「いい子!!」
それはどうも・・でも突然ハグされるのはびっくりするのでちょっとやめてほしいです・・。お腹が空いているのではないかと思い、彼と一緒に再びリビングへ戻り、ケチャップライスを温めて、焼いた卵を乗せて彼のところに出してあげると、彼は亮司さんと同じく過剰なくらいに喜んでくれた。
「えぇ〜。みんなの分まで作ってくれたのぉ〜? なんっていい子なのぉ陽葵って〜♡ 最高! 天使過ぎる!」
「ね。今すぐにでもお嫁に来て欲しいよね」
亮司さんが一緒になって囃し立てると、央君は小首を傾げて隣に座っていた私の顔を覗き込んで来た。
「だってさ。お嫁にくる?」
お嫁って・・もちろんすぐにじゃなくて、いつかってこと・・だよね。
「う、うん・・」
私が顔を赤らめながらそう答えると、央君は再び私を抱きしめた。
「父さん! この子カワイイ!」
「うんうん、分かる。そうだよねぇ〜癒されるよねぇ〜」
ま、また人前なのにハグとか・・
亮司さんは顔は夏樹君と似てるけど、性格は央君の方が似てるんじゃないか?
ご飯を食べ終えてから今度はカフェに顔を出して、央君と二人でデザートにパフェを食べた。時計が17時に近づいた頃、外はまだまだ明るかったがそろそろお暇する事にした。家まで電車で一時間かかるし、央君も18時からバイトだっていうし。駅まで送ってもらう道中、央君と手を繋いで歩いた。
「なんか今日はごめんね。せっかく来てくれたのに、親父と夏樹の分まで料理とか作らせて」
「いえ。楽しかったですよ。それにこれも、プレゼントしてくれたし」
今日一日でだいぶ耳に馴染んだ、海の色のイヤリングに触れると、シャランと僅かに音がする。
「今度は俺が陽葵の家の方行くよ。一緒に買い物でもしようか。何かプレゼントするよ」
「え? また?」
「陽葵ちゃんがいい子だから買ってあげたくなるんだよぉ! 俺って実は貢ぐタイプなのかも・・」
こうやって手を繋いで歩くのが普通になって、だんだんと知ってる事が増えてきて────いつか私はこの人の『支え』ってやつにちゃんとなれるのだろうか。
なりたいよ央君。
私・・央君の支えになりたいよ・・
一方その頃────。
一人で海に入っていた夏樹君は、浜辺である人物に遭遇していた。
「夏樹君・・て君?」
年の頃は五十近くといったところか。黒いウェーブのかかった長髪を後ろに纏め、目には黒いサングラス、髭の生えた顎がワイルドな雰囲気を醸し出す男性。
「・・そうだけど。あんた誰」
夏樹君の睨みに対して、男はサングラスを外して胸のポケットへとしまい、代わりに一枚の名刺を差し出した。
「意外とすぐに分かったよ。・・噂通りの美形だね」
株式会社FDD代表取締役・草加部吾一。
後に夏樹君と央君の生活に多大な影響を与える事になるこの人との、最初の出会いだった。
「今何時!?」
「あ・・3時くらいですかね」
私の回答を聞くと、彼は手で顔を覆った。
「うわぁ・・めっちゃ寝てるし。ごめん俺最低。てゆうか起こしてよ!」
「大丈夫ですよ、ぼーっとしてるの好きなんで。央君の寝顔見て、ほっこりしてました」
そう言うと彼は顔を覆っていた手を外してこちらを見た後・・突然ガバっと私を抱きしめた。
「いい子!!」
それはどうも・・でも突然ハグされるのはびっくりするのでちょっとやめてほしいです・・。お腹が空いているのではないかと思い、彼と一緒に再びリビングへ戻り、ケチャップライスを温めて、焼いた卵を乗せて彼のところに出してあげると、彼は亮司さんと同じく過剰なくらいに喜んでくれた。
「えぇ〜。みんなの分まで作ってくれたのぉ〜? なんっていい子なのぉ陽葵って〜♡ 最高! 天使過ぎる!」
「ね。今すぐにでもお嫁に来て欲しいよね」
亮司さんが一緒になって囃し立てると、央君は小首を傾げて隣に座っていた私の顔を覗き込んで来た。
「だってさ。お嫁にくる?」
お嫁って・・もちろんすぐにじゃなくて、いつかってこと・・だよね。
「う、うん・・」
私が顔を赤らめながらそう答えると、央君は再び私を抱きしめた。
「父さん! この子カワイイ!」
「うんうん、分かる。そうだよねぇ〜癒されるよねぇ〜」
ま、また人前なのにハグとか・・
亮司さんは顔は夏樹君と似てるけど、性格は央君の方が似てるんじゃないか?
ご飯を食べ終えてから今度はカフェに顔を出して、央君と二人でデザートにパフェを食べた。時計が17時に近づいた頃、外はまだまだ明るかったがそろそろお暇する事にした。家まで電車で一時間かかるし、央君も18時からバイトだっていうし。駅まで送ってもらう道中、央君と手を繋いで歩いた。
「なんか今日はごめんね。せっかく来てくれたのに、親父と夏樹の分まで料理とか作らせて」
「いえ。楽しかったですよ。それにこれも、プレゼントしてくれたし」
今日一日でだいぶ耳に馴染んだ、海の色のイヤリングに触れると、シャランと僅かに音がする。
「今度は俺が陽葵の家の方行くよ。一緒に買い物でもしようか。何かプレゼントするよ」
「え? また?」
「陽葵ちゃんがいい子だから買ってあげたくなるんだよぉ! 俺って実は貢ぐタイプなのかも・・」
こうやって手を繋いで歩くのが普通になって、だんだんと知ってる事が増えてきて────いつか私はこの人の『支え』ってやつにちゃんとなれるのだろうか。
なりたいよ央君。
私・・央君の支えになりたいよ・・
一方その頃────。
一人で海に入っていた夏樹君は、浜辺である人物に遭遇していた。
「夏樹君・・て君?」
年の頃は五十近くといったところか。黒いウェーブのかかった長髪を後ろに纏め、目には黒いサングラス、髭の生えた顎がワイルドな雰囲気を醸し出す男性。
「・・そうだけど。あんた誰」
夏樹君の睨みに対して、男はサングラスを外して胸のポケットへとしまい、代わりに一枚の名刺を差し出した。
「意外とすぐに分かったよ。・・噂通りの美形だね」
株式会社FDD代表取締役・草加部吾一。
後に夏樹君と央君の生活に多大な影響を与える事になるこの人との、最初の出会いだった。