初めまして、綾波(あやなみ) (しおり)です。まずは「最後の一文字まで君を想う」を読んでいただきありがとうございました。

 今作のキーワードである「人はいつ死ぬのか」という問いについて貴方はどう考えますか? 毎日そんなことを考えている人は少数だと思いますが、誰しも一度はそういった思考に囚われたことはあるでしょう。

 彼女もその思考の闇に堕ち、苦しんだ一人なのだと思います。その答えは今の私にも分かりかねますが、彼女の言う通り、私の記憶の中で生きているのかもしれません。

 私はそんな彼女の願いを叶えるため、この小説を書きました。これがこの作品の執筆に至った経緯です。

 彼女の死から早くも二年。こんなこともあったなーなんて思い返しながら書かせていただきました。やはり、彼女は私にとって生きる理由であり続けるでしょう。

 だからこそ、《《最後の一文字まで彼女を想い》》、自分なりの言葉で不器用にも綴らせていただきました。

 貴方は支えてくれている人を、愛してくれている人を、一緒にいてくれる人を大切にしていますか?

 もし、できていないのなら、今からでも遅くありません。素直にただ一言『《《ありがとう》》』と、それだけで十分だと思います。伝えてみてください。––––ほら、笑ったでしょ。

 ここで一つご報告が。私はこれ以上作品を書くことはありません。これが最初で最後の一冊です。私にはヒロインが彼女しか書けないので。

 もう一度、「最後の一文字まで君を想う」を手に取っていただき感謝申し上げます。これは彼女が生きた証であり、生きている証なのです。

 最後に一つ。どうか、忘れないでいただきたい。綾波 栞という人が、雪村 栞という人がこの世に居たということを――。