◇おまけ(ウミネコside)

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「ウミネコと仲良すぎ、てか近い」


年が明けて早1ヶ月。もうすぐバレンタインといった全男子ソワソワの季節にて。オレはいつになったら彼女ができるんだとイッチーに嘆いていると、信じられないくらい怖い顔をしたウツミが顔を出した。放課後、教室での話である。


「はーん? なになに、ウツミまた嫉妬かよ?」
「またって何。てかイチもイチでしょ、距離感おかしい」
「いやそんなことないだろ、フツーだよ。ウツミが気にしすぎ」
「気になるでしょ、好きな子が他の誰かと仲良くしてたら」
「おまっ、ちょっとは愛情表現控えてくれない?!」
「無理」


顔を赤くしたイッチーと不機嫌そうなウツミのコンビが面白くてオレはやれやれと肩をすくめてやる。このバカップルが。見せつけなら他でやれっつーの。

ていうか、イッチーってこんなかわいい顔すんだ。いつも余裕そうな顔してるくせに。皆に分け隔てなく優しくてどこか達観してるって思ってたけど、ウツミの前ではそーでもないのね。

まあそれはウツミもそうか。何にもキョーミなさそうな顔して、イッチーのことになるとこんなに感情的になるわけね。ふうん、こいつら本当ラブラブじゃん。あれ、もしかしてオレって超部外者?


「ウミネコもなんとか言ってやってよ」
「あーやめてやめて、イッチーそれ以上近づかないで、ウツミに嫌われたくない」
「はあ?!」
「ウツミはイッチーと違って人当たり良くないからわかんねーのよ。人付き合いってもんがさ」
「……イチは誰にでも優しすぎ。俺だけでいいのに」
「そーいうわけにはいかないだろ!」
「なんで、何がダメなの」
「別に俺が誰と何してようが、ウツミのことが好きなのはこの先ずっと変わんないから心配することないって言ってんの、なんでわかんねーの」
「……俺もずっと好きだけど」
「だろ? じゃあそれでいいじゃん」
「なんかまとめられた感……」



シュンと肩を落とすウツミをイッチーが宥め始める。オレはお決まりの諦観。拉致あかねー! なんなのこいつら。リア充滅びろ。うそ。一生やってろ。末長くお幸せに。



【ウミネコsideおまけ Fin】