午後の授業中、ウツミはまたうとうとと船を漕いでいた。懲りない奴。昼間あれだけ寝かせてやったのに、まだ眠いのか。

真冬の教室だけれど、暖房がごうごうと効いていて、昼休み明けに眠くなる気持ちもわかるけどね。しかも最悪なことに古典の授業。まあ船を漕ぐ気持ちもわかる。睡眠のメカニズムってどうなってるんだろう。ちょっと気になる。

おれはクラスの半分が寝ているような静かな教室で、頬杖をつきながらこっそりと視線だけを横にやる。おれが窓際いちばん後ろの席で良かった。誰にもバレやしない。

寝ているウツミの綺麗な横顔を見る。机に突っ伏している、そんな堂々と寝るなよ。

さらさらな髪に透き通った白い肌。長い睫の先までうつくしい。中性的な顔立ちと言われればきっとそうなのだろう。ウツミを見ていると、まるで湖みたいだな、と思う。光に反射した綺麗な水面に、一度脚を踏み入れればもう戻ることはできない。波打つそのひかりに、人はどうしたって手を伸ばしてしまう。触れたくなる、どうしようもなく、近づけば近づくほど。