俺たちは幼なじみだ。



小さい時から何をするにも一緒で、いつも隣には凪がいた。



それなのに凪が引っ越すと知る数か月前、俺たちにはなぜか距離が出来てしまった。



きっかけは……なんだったかな。



喧嘩をしたとかそんな決定的なことではなくて、ただなんとなんとなくできた距離に、どんどん気まずくなっていった。



それが原因で、凪がこの町を離れてから三年間もの間、一度も連絡を取っていなかった。



というより、なんて連絡していいのかわからなかったのだ。


家族のように距離が近くて、どんなことでも話せた凪に、気を使ってしまっている自分がいることが違和感でしかなくて。



でもこうやってまた再会できて、素直にうれしい。



きっかけがなかっただけで、あの時の気まずさはもうなくなっているのかもしれない。



「またよろしくな!」



そう肩をたたくと凪は嬉しそうに笑いながらうなずいた。



「ええ!なになに!二人の世界に入らないでよ。俺も仲間に入れてよー!」



口を尖らせながら凪と俺の肩を勢いよく揺する日向。



ほんとに人見知りのひの字も知らないんだな。