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 タイムリープ。
 タイムトラベルではなく、意識だけ、魂だけの時間跳躍現象。
 もともと明人がいた二〇〇〇年代には、映画やゲーム、小説などで当たり前のように題材にされていたが、この時代、一九九五年はそこまで「タイムリープ」という言葉が浸透していなかったと記憶している。
 意識は大人のままで、身体は高校生。ずっと昔の自分。ずっと以前の、かつて過ごした世界。明人はそんな環境で、もう何ヶ月も生活しているのだった。

「来たのは四月頃?」

 変わらず、なんでもないような口調で直が尋ねてくる。

「はい。気づいてたんですか? 俺のこと」

 この人は、いつの時代から「来た」のだろう。もとの年齢は自分より年上だったのか、年下だったのか。だが、今さら言葉遣いをあらためるのも変だし、明人自身もこれが自然だと感じていた。

「学年が上がったっていうのもあるけど、ちょっと雰囲気変わったなって思ったから。明人君てたしかにお堅いキャラだけど、さらにっていうか、なんか意識的にどこかで一線引きながら、人とコミュニケーション取ってるみたいに感じたの」
「それだけで、自分と同じだと?」
「最初は、まさかって考えたよ。でも秋に入った頃、正君から気になる話も聞いて、やっぱりそうかもって。あとはね――」

 言葉を切った直の目が明るくきらめいたように、明人には見えた。

「嬉しかった」
「嬉しかった?」
「うん」

 自分と同じ境遇の人間に出会えたから、ということだろうか。しかしそれ以前に、明人には気になる部分がある。

「あの、兄ちゃんも俺のこと、気づいてるんでしょうか」

 こちらの方が、まずは知りたかった。兄の名前が出てきて驚かされたからだ。
 訊かれた直は、形のよい眉をハの字にしている。

「そこがちょっと微妙なのよねえ。あの通り飄々とした人だし、そもそもタイムリープっていう概念が、この時代には一般的じゃないし。けどいずれにしても、あなたの様子が変わったっていうのは間違いなく感じてるはずよ」

 たしかにそうだろうなと、明人も納得する。たった一歳違いで、しかも普段から仲のいい兄弟なのだ。さらに言うなら、正はとても賢い人でもある。とぼけたキャラクターに騙されがちになるが、むしろ頭脳明晰な人だということは明人自身がよくわかっている。

「どっちにせよ明人君の様子が気になって、彼、いろいろ調べてたみたい。その過程で何かしらのヒントみたいなものは、つかんだんじゃないかな」
「あ!」

 いろいろ調べている、というのは明人にも心当たりがあった。受験勉強だとばかり思っていたが、正がたびたび図書館へ出かけていたのはこのためだったのか。

「でも誤解しないで。正君の調査は興味本位とかじゃなくて、あくまでも明人君が心配だからよ。大事な弟の様子がちょっと変わったって、彼はいち早く感じてた。たしかに私も、特に一学期の頃、よく聞かされたもの。最近、明人がめっきり大人っぽくなったんだよなあ、って」

 兄だけではない。母も似たようなことを言ってくれていた。きっと父も、ひょっとしたらリンタロウだって、何かを感じていたかもしれない。よくはわからないが、自分のなかの何かが変わったと。以前とは違うと。ただしそれが「大人っぽくなる」という、一般的にはポジティブに取られる変化だったから、みんな何も言わず受け止めてくれていたのだ。優しく。温かく。

「でも、兄ちゃんは心のどこかで――」
「うん。基本的には嬉しそうだったけど、やっぱりちょっと気になってたみたい。そりゃそうだよね。十七歳、あ、そのときはまだ十六か、の弟が急に大人びちゃったら、自分の一年前と比べて、なんだか違いすぎるって考えるのが普通だもの」
「だから図書館に?」
「結局ヒントを手に入れたのは、図書館でじゃなかったみたいだけど」
「え? じゃあ、直さんからですか?」

 いつしか明人は、直に矢継ぎ早に質問を重ねてしまっていた。というか直から情報を引き出したのだとしたら、正は彼女もタイムリーパー、つまり中身は大人だということをわかったうえで、ずっと変わらず接していたのだろうか。いや、あの人ならそれぐらい軽くやってのけそうでもあるが。
 しかし直は、苦笑しながら問いを否定した。

「ううん。さすがに私もカミングアウトはしてないよ。あれ? カミングアウトっていうのも、この時代はあんまり使わないないか。ほんと、日本語の言い回しって、結構変化してるよね」

 そんなことより、と思わずつっこみそうになったところで直が明かした情報源は、またしても予想外の人物だった。

「君たちのお祖母さんに会って、いろいろ聞いたみたい」
「祖母ちゃん、ですか? 西(にしの)(みや)の?」

 思わず明人は、家族にしかわからない確認の仕方をしてしまった。「西宮の祖母ちゃん」こと母方の祖母は、相変わらずのとぼけたキャラクターで、元気に一人暮らしをしている。つい先日も、

《明人、全国大会テレビで見たで。かっこよかったなあ》
《ああ、うん。応援ありがとう》
《キャプテンのウエサカタクオ君! かっこええなあ! ええ男やなあ! 今度、紹介してや!》
《植原竜也、ね》

 などと、いかにも彼女らしい電話がかかってきたばかりだ。

「でも、なんで祖母ちゃんに?」

 さっぱりわからなくなってきた。弟の様子が気になっただけで、なぜ正は祖母の下を訪ねたのか。いや、それ以前に祖母はタイムリープと何か関係があるのだろうか。
 眉根を寄せるしかない明人に、直は落ち着いた声で逆に確認してくる。

「お祖母さんのご主人、つまり明人君と正君のお祖父さんは、もう亡くなられてるんだよね」
「あ、はい。六年前に」
「お会いしたかったなあ」

 そのひとことで、明人は一気に理解した。

「まさか、死んだ祖父ちゃんも!?」
「ええ。多分、リーパー」

 あっさりと肯定して直は続ける。

「お祖母さんは正君に、はっきりとそういう言い方はしなかったみたいだけど」
「祖父ちゃんも、タイムリーパー……」
「正君ね、小さい頃、似たような話をしてもらったのを思い出したんだって」
「似たような話?」
「近守の家の男は、ある日急に大人になることがあるんだよ、っていう話を」
「えっ!」

 目を見開く明人に、緩やかな頷きが返ってくる。

「正君が子どもの頃、おまえは私や娘に似てるけど、明人はお祖父さん似だからやっぱりそうなるかもねって、お祖母さんが仰ったそうなの。で、話を覚えてた彼は、秋にもう一度、お祖母さんご自身の下へたしかめに行ったってわけ」

 全然知らなかった。けれども祖母が、よく似たキャラクターの兄に、よく似た口調でそう言っている光景はすぐに想像できた。

「彼、言ってた。明人はそういう遺伝子を受け継いでたんだな、ちょっと羨ましいかな、って。さっきも説明したように、タイムリープっていう結論にまで行き着いたかどうかは、さすがに微妙なところだけど」
 それも全然知らなかった。正は、兄は、ずっと変わらずに接してくれている。明人の秘密を知る前も、知った後も。そしてもちろん今も。

「羨ましがられることなんて、あんまりないですけどね」

 自嘲気味につぶやくと、直もくすりと笑って同意してくれた。

「そうだよね。言葉一つ取っても気を遣うし、やっぱりネットも携帯もないのは不便よね。最初の頃なんて駅の改札で、ICカード探そうとして変な顔されちゃったもん」
「俺もやりました、それ。あと、メールする、とかつい言いそうになったり」
「あるある! 逆にレンタルビデオ屋さんとか超懐かしくて、つい入り浸っちゃったりね」
「はい、わかります」

 未来人同士ならではの会話で盛り上がりながら、明人はひそかに思う。

 こういう直さんの方が、よっぽど高校生っぽいな。

 それくらい彼女の笑顔は自然で、魅力的だった。今までで一番といっていいくらいに。
 けれどもすぐに、自然な笑みは伏せられてしまった。

「ちょっとだけ未来がわかるのって、やっぱり不思議だよね。ずるい……のかな」
「……すいません」

 反射的に明人は謝っていた。すぐにわかったからだ。直が自分のした、「ずるい」ことに気づいているのを。

「俺――」
「ううん。多分、大丈夫」

 笑みを取り戻した直が、否定の言葉を被せてくれる。

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「すいません」

 もう一度同じ言葉を繰り返すしかなかったが、正直なところ謝るのが正解なのかどうかすら、明人にはよくわからない。映画や小説のなかでは、過去を変える行為はたいていタブーとされている。それによって未来に変化が生じてしまい、いわゆるタイムパラドックスに繋がるからだ。だが少なくとも、この時代に生きている限りなんの変化も感じないし、自分たちが全国大会に出場したのがきっかけで、何か大きな事件や事故が起きたという話も聞かない。もっとも明人が気づかないだけで、「風が吹けば桶屋がもうかる」式に、めぐりめぐって何かが変わっているのかもしれないが。

「バタフライ・エフェクトの結果なんて、知りようがないし」

 そういうのなんて言うんだっけ、と頭の片隅で考えていたら、先回りして直が答えてくれた。洞察力に加えて深い教養も感じられて、大人の――本来の彼女もさぞかし魅力的なのだろうと、あらためて思う。

「ありがとうございます」

 礼を述べる明人の顔を、直は「それに」と覗き込んでくる。切れ長の目に、いたずらっぽい光を浮かべて。

「もし、またあの時間に戻ったとしても、同じことをするんでしょう?」
「はい」

 もう明人は、「すいません」とは口にしなかった。意識して言わないようにした。
 自分で選んだ結果だから。自分で決めたことだから。それがあのとき、あのPK戦ですべき行いだったと今も信じているから。
 少なくともあそこでは、桃香を泣かせないために。



 県予選準決勝のPK戦を、明人は大人になってからもずっと覚えていた。今とは異なる結果を、異なる角度から見つめていたあのPK戦を。
 タイムリープする前、もとの人生では、明人はあのPK戦をベンチから眺めていたのだ。尊敬する友人、譲原亮介のように。
 本当はあのとき、自分はレギュラーではなかった。レギュラーは亮介で、自分こそがベンチから一所懸命に声を出す立場だった。PK戦の光景や、わずか十五分後には桃香が涙を浮かべていた姿も、はっきりとまぶたに思い浮かべることができる。違うのは、スコアが0対0のままPK戦に入ったこと。そして自分たちが負けたこと。

 だから、今回は力を使った。正確に記憶している通りの方向へと跳び、相手のPKを止めた。
「力」というほどのものでは、ないのかもしれない。ひょっとしたら単に運がよかっただけかもしれない。過去改変というならば、自分がゴールマウスを守っている時点ですでに時の流れは違っているし、実際それまでのゲーム展開も変わっていた。
 しかし、明人には確信があった。PKは同じ道を辿ることが。以前と同じ選手が、同じコースにシュートを放つであろうことが。きっとささやかな過去改変は、ささやかな変化、さざ波程度の変化を起こすだけで、すぐにもとへと戻るのだろう。タイムパラドックス同様にSFの世界でよく聞く、「歴史の復元力」や「時の収束」的な何かが働いて。

「あれが俺のすべきこと、いえ、したいことだと思ったんです。だから心に従いました」

 あらためて明人は断言してみせた。今でも後悔はしていない。それに、他にもしたいこと、心に従いたいことは――ある。

「わかるよ。私が明人君でも、きっと同じようにしたと思う。今だって似たようなものだし」

 優しく頷いてくれた直が、「じゃあ」と声のトーンを上げる。

「明人君も、望んでこの時代に跳んできたんだね」
「え?」

 一瞬、何を言われたのかわからなかった。望んで跳んできた?

「ええっと、つまり、今の時代を狙ってタイムリープしてきたって意味ですか?」
「うん」
「い、いえ」

 だが明人としては首を振るしかない。少なくとも自分には、そんな真似はできない。

「でもあなたの心のどこかに、この時代、オハ高生として過ごした時間をもう一度経験してみたい、って夢見るような意識はあったはずだよ」
「あっ! そうか! だから……」

 怪訝に思っていた明人だが、「夢」という単語でようやく納得できた。理解できたと言ってもいい。

「やっぱり私たち、同じだね」

 嬉しかった、と伝えてくれたときと同じ目の輝きで、直は顔をほころばせている。

「あなたも(めい)(せき)()で、リープしてきたんでしょう?」
「はい」

 自分も小さく頬を緩めて、明人は頷いた。



 名前の通り、はっきりと風景や音を感じる現実まがいの夢を、「明晰夢」と呼ぶらしい。そしてタイムリープの鍵になるのは、この明晰夢を見ることだという。
 もとの人生でそれを知ったとき、明人はびっくりした。きっかけはまさに、タイムリープを題材にした時代小説を読んだことだった。読み終わったばかりの作品について、余韻に浸りながらレビューや関連記事をネット検索していたら、『タイムリープのやり方』というなんともストレートなタイトルに行き当たったのだ。
 匿名掲示板でのやり取りをまとめたらしいそのサイトを読み進めるうちに、だが明人は、浮かべていた気楽な笑みが強張っていくのを自覚した。

《タイムリープしてきたけど質問ある?》
《まーた未来人か》
《ちな どうやって?》
《こういうの使った》

《こういうの》として貼り付けられていたのが、なんと自身も所有するものの画像だったからである。
 明人はそれを、高校生の頃に祖母からもらっていた。大人になってからも、亡くなってしまった彼女の形見として、お守り袋ごと財布に入れてずっと持ち歩いている。

《あー「飽きた」ね》
《六芒星のアレか》
《明晰夢のやつ?》
《そう なんか幽体離脱みたいになって 明晰夢見て 気づいたらこの世界だった》
《何歳からきて今何歳?》
《すまん 年齢は言えない リーマンからきて童貞の厨房とだけ》
《マジか》
《童貞に戻れるってある意味うらやまだわwww》

 六芒星。宗教によっては「ダビデの星」や「籠目」などと呼ばれ、魔除けの紋章としても知られる、上下が逆の二つの三角を組み合わせた図形。
 その六芒星を描き、中央部分に《飽きた》と記した小さな紙。
 なぜか明人も、そっくり同じものを持っていたのだ。しかも黄ばんで古くなった、どう見ても大昔に作られた一枚を。
 よくあるネット上の与太話だと、笑って済ませることはできなかった。なぜ祖母は、そんな紙を大事に保管していたのか。そしてなぜ、高校生だった自分にお守りとして手渡したのか。

 混乱する頭とともに、さらに《明晰夢》や《飽きた》などのキーワードで検索した結果、いろいろとわかってきた。六芒星の《飽きた》でタイムリープを行なう方法は、ネットの世界ではよく知られたものであり、匿名掲示板などにはそれによって現代に時間移動してきたという、自称「未来人」が頻繁に登場しているらしい。
 彼らの語るタイムリープの方法は、いたってシンプルだった。寝る前に《飽きた》の紙を握り締め、過去の自分をイメージしながら眠りにつく。すると明晰夢の形で当時を体験しやすくなるので、あとはそのまま夢のなか=過去に居着いてしまえば、逆に夢こそが現実となりタイムリープは完了するという。
 漫画のような話で、にわかには信じられなかった。そんな馬鹿な、とも。

 しかし。
 好奇心に負けた明人は、試してしまったのだ。《飽きた》の六芒星を実際に。遥か昔に託された黄ばんだ紙を握り、高校時代を想いながら眠りについてしまった。
 結果、自分は今――「今」を一九九五年一月十六日だとするならば――ここにいる。

「じゃあ、直さんも《飽きた》の六芒星で?」

 紙の感触を思い出しながら、明人は尋ねた。

「え?」
「直さんも、明晰夢でリープしてきたんですよね」
「ああ、うん」

 とりあえず肯定はしてくれながらも、直はどこか怪訝そうにしている。なんだか急に、話が噛み合わなくなった感じがする。
「あの」と、明人はあわてて財布を取り出した。もとの人生と同じく、十七歳の誕生日にもらった例のお守り袋は、しっかりとカード入れの部分にはさみこんである。

「これを使ったんですよね」

 言いながら、《飽きた》の紙を取り出してみせた瞬間、「えっ!?」と直の目が見開かれた。

「本当に、あったんだ……」
「は?」

 今度は明人が怪訝な顔になってしまう。本当に、あった?

「てことは、これってそんなにめずらしいものなんですか?」

 いや、タイムリープを引き起こす道具という時点で、一般的な意味での「めずらしい」など遙かに超越してはいるが。
 だが直は直接答えず、逆に問い返してきた。

「いつだったか明人君、桃香ちゃんに〝飽きた〟っていう言葉が嫌い、って言ってたでしょう?」
「え? ああ、はい」

 記憶を探りつつ、明人も首を縦に振る。たしかトレ室での会話だった。

「あのとき、ちょっとだけ引っかかりはしたの。でも、本当にちょっとだけだった。《飽きた》に関しては私も、単なる都市伝説だと思ってたし」
「え?」

《飽きた》を単なる都市伝説だと思っていた、ということは……。

「じゃあ直さんは、違う方法で明晰夢を見たんですか?」
「うん」

 明人にとっては意外な答えだったが、よく考えたらそういう可能性だって、たしかにいくらでもある。つまりタイムリープの方法は、《飽きた》の六芒星だけではないということのようだ。

「私も明晰夢なんだけど、でも、道具は使わないの」

 冷静に、何かをたしかめるみたいに、直が説明してくれる。

「使わないっていうか、必要ないっていうか」
「必要ない?」

 問い返すと、直は強張っていた表情を崩して、どこか困ったように笑った。

「私、ある程度、勝手に跳んじゃうんだ」
「勝手に跳ぶ?」

「うん」と笑みが深くなる。

「明晰夢も自然と見れちゃうの。この時代にきてからは、そうでもないけど」
「ええっ!?」

 なんでもないことのように語っているが、明人にとっては驚愕の事実だった。
 そのまま詳しく教えてくれたところによれば、もとの時代の直は、何もせずとも明晰夢を見ることがしばしばあったのだという。ただ、明人のそれとは若干異なり「これは夢だって完全にわかるし、色とか音、匂いなんかがはっきりしてるのも同じだけど、違う時代の自分が別にいて、ガラス一枚隔てたとこから見てる感じ」で、ついにはそのガラスの向こう側にいる身体へ乗り移るようにして、時間を移動してきたそうだ。

「そんなことが……」
「できちゃうの。ていうか、なっちゃったの。さっきも言ったけど、この時代では落ち着いてるけど」
「そうだったんで――」

 すか、と続けようとしたところで、明人は言葉を飲み込んだ。
 ちょっと待て。勝手に跳んじゃう? そして、()()()()()()()()()()()()

「直さんは、まさか」

 呆然と見つめてしまうなか、直は笑みを恥ずかしそうなものに変えて、はっきりと答えた。

「ええ。私は二度、リープしてる」