「…なあ、憂太…お前ほんとにキスすんの初めて?なんか…慣れてる…気がする…」

憂太とのキスが心地よくて、つい思ったことを口にしてしまう。

「えーなに?それってもうちょっとこの先まで進んでも良いよってこと?」

「いや、そういうことじゃなくて、えっと…」

「えっと何?」

「キス上手い?感じがしたような…」

「百戦錬磨な湊に褒められるなんて」

「そんなんじゃねーって」

「じゃこんな時、彼女ならどうされたいの?」

憂太は意地悪そうな顔をしてこっちを見ている。



「ふぁぁ!」

憂太の手が湊の服の中にスルスルと入ってくる。

「きょ、今日はここまで!!」

服の中に入ってくる手を急いで止める。

「こういうのはちょっとずつ慣らすもんなの!」

自分に言い聞かせるかのように言い放つ。


「…うん、そりゃそうだね、ごめんごめん、もう寝よう」

「ま、まあ、憂太はこれから、ちょっとずつ練習していけば良いから…」

「ふふっ、彼氏としての作法を?」

「そ、そう」

「ほんと面白い提案」

「お前のことを思ってだな…」

「あはは、ありがとう。じゃあこれからいっぱい教わらないと」

「…おう、じゃ今日はこのくらいにしといといてやる」


そう言って憂太に背中を向ける。

「湊、おやすみ」

「おやすみ…」


練習とはいえ恋人役になった憂太の体温を背中に感じながら過ごす夜は
これまでの夜の中で1番長く感じた。