「ふぁあ〜眠たくなってきたあ〜」

眠たそうにあくびをしながら話かける憂太。


「え、ちょっと待って!湊、今何時?」

「ん?1時前…」

「やらかした。終電逃した…しかもものすごい前に」


楽しすぎて本当に時間を忘れていた。

「まあ、このままだと帰れないし、俺ん家に泊まるしかないな」

「ありがとう湊。神様」

「いいよいいよ笑」

「じゃ僕はこのままソファーで寝る。そのブランケット貸して〜。ふぁぁ、ねむい…」

「え、ソファーからはみ出てるけど大丈夫?」

「うん、大丈夫」

「じゃあ、はい。困ったら声掛けてな。おやすみ」

「湊おやすみぃ」


春先とはいえ夜はまだ少し肌寒さが残っている。


「ねえ、湊…ねえねえ、ベット入れてほしい」


体を揺さぶられ半分寝ながら起きてみると憂太が目の前にいる。


「ん?なにぃ?」

「湊のベットに入れてほしい」

「んえぇ、布団一つしかないよ」

「ブランケットで大丈夫かと思ったけど、思ったより寒くてちょっと風邪引きそう」

「…入る?」

「うん、ありがと。でも男2人で1つの布団に入ったら狭いなあ」

「入れてもらって文句言うな笑」

「すんません、お邪魔します」


憂太がゴソゴソと布団の中に入ってくる。

「うっわ、足冷たすぎだろ」

憂太の足先の冷たさが自分の足元に伝わってくる。


「あーあ、冷え冷えの憂太がベットに入ってくるからなんか目覚めてきた」

「えーごめん、じゃあ眠たくなるまでなんか話す?」

「いいよ、じゃあ憂太は彼女いたことある?」

「うわ、いじわるしてくる〜」

「いいじゃん、実は前髪上げて眼鏡外したら意外と顔整ってるの俺は知ってるからな。その顔でいないは許せないだろ。本当はどうなんだよ」

「えー、いつそんな姿見たんだよ〜湊の方がかっこいいじゃん」


湊の質問はのらりくらりと躱される。


「本当に何の経験もないの?誰かを好きになったりとか」

湊は負けずに質問してみる。

「ないない、こんなモサモサはモテないから無いよ」

どうやっても適当に返事される。

「あはは、モサモサ自覚してんじゃん。じゃあー、いざとなった時どうすんの?」

「どうしよかな。なんとかなるもんじゃない?」

「絶対ならないでしょ!」

「なるなる」

「どうやって?」

「んー誰かに練習相手をしてもらうとか?」

「うわ、最低じゃん」


女性経験のない湊にとって、憂太のようにいざとなったら何とかなるなんて全く考えられない。