ゴールデンウィークも過ぎた頃、湊は研究室の先輩が新歓を開催するというので憂太と参加することになった。

幹事の先輩の乾杯の音頭と共にみんなの乾杯の声が聞こえ、まだまだ慣れないお酒を口にする。

しばらく飲み食いしていると、お酒のせいなのか場の雰囲気のせいなのか酔いが回ってくる。

辺りを見回すとみんなも良い感じに盛り上がっているように見える。

憂太の様子が気になって探してみるとビール瓶に直接口をつけてゴクゴクと飲んで酔っ払っている先輩たちに絡まれていた。


「ねーねー、憂太の経験人数って何人ー?てか、もしかして彼女いたことないとか言っちゃうやつー?」

「あはは。やめてあげろよ、こんなにモサモサなんだから彼女いたことないだろ」


先輩たちが憂太を挟んで会話をしている。

「(あーもう!あいつどんな絡み方されてんだよ!なんか言い返せよ!あんな見た目だけど意外と話したら面白いんだからさあ!)」

仲良くなったのは最近ではあるが、大事な友人に変わらない憂太のいじられ方に湊は何んとなく腹が立った。

飲み会も終わり、2人で帰り道を歩く。

「なあ憂太。何であの時言い返さなかったんだよ。経験人数なんて適当に言っときゃいいじゃん」少し強めに言ってしまう湊。

「んー、確かに。なんて言ったら良いかなーって考えてたら、いつの間にかすっごいいじられててさ。自分でもびっくりした」

気にも留めてないように笑う憂太に「せっかく心配してたのに。何だよそれ」と肩透かしを食らう湊だった。