「で、急にどしたん?」

「あ、ごめんね。せっかくのお昼ご飯だったのに邪魔しちゃって」

「いいよ、大丈夫!この辺りのカフェでも行く?」

「いや、あんまり人が多くない方が良くて…」

「んーじゃあ、近くの公園とか?」

「…うん」


大学の外は強い日差しが降り注いでいて、歩くだけでも汗ばんでくる。

コンビニで冷たい飲み物を買って公園に向かった。


「さっきお友達と一緒だったのに、ほんと急にごめんね」

「大丈夫だって!とりあえず座るのこのベンチで大丈夫?」

公園の中にある唯一の日陰に座った。

「で、将人となんかあった?」

「うん…なんかね…」

俯きながら話し始める。

どうやら彼氏である将人と上手くいってないらしい。

しかも、バイト先の後輩と浮気してるかもしれないときた。

「だから最近、将人と会うと不安になって別れた方が良いのかなって考えちゃって…」

「浮気か…結衣の思い違いって可能性は?」

「その子とずっとLINEしてるくせに、私が怪しんでるだけだって。バイト先の子とは何もないしか言わない」

結衣の細く小さな肩が震えている。

「私と遊んでるときにも通知来て返事してるんだよ?なんでそんな姿見なきゃいけないの?もうほんといや」

「うん。それは…たしかに見るのは辛いな」


結衣の状況を自分に置き換えて考えてみようと思った瞬間、なぜか憂太の顔が頭によぎった。

練習の恋人だったとしても、憂太が誰か別の女の子と親しげに連絡を取り合っている姿を想像すると寂しい気持ちになった。

「どうしたらいいんだろうな。一緒に考えるよ」

とうとう結衣の目に溜まっていた大粒の涙が頬をつたう。

「と、とりあえずこれ…」

泣きだす結衣にタオルを差し出す。

「…ありがとう」

差し出した手に結衣の手が重なる。

「え…」

「別の人といる方が幸せになれるのかな…」

結衣は脚を湊に少しくっつけて、湊の胸元に寄りかかる。