第三の目である松野がそれなりに時間がかかった一方で、三日月、太鼓、蛇の年長者組は淡々と制圧を完了させた。
ちなみに、ポーンとして割り振られた者たちの場所には幹部は居らず、普通に不良のような乱闘騒ぎで、場を制圧していた。これも勘違いに拍車をかける原因である。
****
三日月の方は世界トップレベルのハッカー。
2箇所同時とはいえ、見事にサイバー攻撃を撃退してみせ、更にはその技量を教え込まれた部下達からの猛攻に、弓の射手側のメインサーバーは早々に堕ちることになった。
太鼓の元に居た幹部は悪名高くはあるものの、相手の幹部がシヴァの悪口を言ったことにより、バーサーカー太鼓となり、1人残らず電気銃で気絶させた。
悪口を言った幹部だけは太鼓が直接ボコボコにしたが。
そして、同じく早期制圧を完了させた蛇が対敵した幹部は、殺害人数で言えば矢よりも多い、最凶最悪の殺人鬼だった。
「君は育ち過ぎてる。殺しがいがない。あと10歳若返ってからおいで。」
「生憎だが俺はお前みたいなタイプが嫌いなんだ。」
だが、蛇は水を撒いておいた場所まで誘導し、電気銃を地面に打ち込む事で、全員まるっと感電させ終わらせた。
水に足をつけている人間全員を一度に感電させるその効率重視のやり方に、部下は「流石シヴァ様の右腕。」と頷き、防犯カメラ越しに見ていた代田達は引いた。ちなみに公安は歓声を上げた。
(……既にキングの駒は移動しているな……流石に全ての移動箇所が指示だとは思えない。弓の射手の総力もそうだが、場合によっては同じ場所を行ったり来たりすることになる。)
蛇は三日月率いるサイバーチームから送られてきたチェスの対局状況をスマートフォンで確認しながら、三日月、太鼓の制圧完了報告を聞いていた。
その後には三叉槍からの制圧完了報告が届き、蛇は顎に指を添え、どうしようか、と唸る。
(野々本の方は人数が多いし、そんなに心配はしていないが……川と第三の目、この2人のどちらかはヘルプに向かった方がいいか。)
元々、川も第三の目も戦闘要員では無い。一応2人とも幹部として最低限の戦闘訓練は受けているが、体格が小さい分、2人とも体術の攻撃は軽くなるし、力負けしてしまう。
(第三の目は確か麻酔銃だったな……川は電気銃を持っていたが……)
地図アプリでそれぞれの幹部の場所を確認しながら、少し考え込み、蛇は三叉槍にインカムを繋げた。
「俺はこれから川の方へ向かう。三叉槍も念の為第三の目の方へとヘルプに向かってくれ。」
『三叉槍りょーかい。』
戦力の余力で言えば太鼓を動かしたかったが、如何せん太鼓の位置からだとどちらのヘルプに向かおうが距離がある。
(それに、第三の目には考える頭脳がある。多少はどうにかできるはずだ。)
そうなるとやはり不安要素が大きいのは川だ。
蛇はスマートフォンをポケットにねじ込み、部下に着いてくるように指示を出す。
川は三叉槍よりも後に幹部となった、割と新米の幹部だ。
とはいえ、第三の目よりは在籍期間も長いし、最年少幹部として遜色無い才能を発揮している。
ただ、その才能も戦闘には向いていない。
だからこそ、蛇は川のヘルプへと向かったのだが、
「……これは、どういう状況だ……?」
「あたしの方がシヴァ様のこと分かってんだから!!」
「いいや!この私だね!!」
「本当にこれはどういう状況だ???」
わざわざテーブルをどこぞから持ってきて向かい合って座り、ジョッキを飲み干してはテーブルに叩きつけて叫び合う2人。
相手の幹部、ヴァジュラはまだしも、川は15歳のガッツリ未成年なので酒ではないと願いたいが、そもそも何故飲み勝負のような状況が出来上がっているのか。
チャトランガ側の部下も弓の射手側の部下も「もっと言ってやってください!!」「そうだそうだー!!」と互いに野次を飛ばしあっているだけで、乱闘になる様子もない。
(……だめだ、何がどうしてこうなったのか何も分からない。)
こめかみを抑え唸る蛇に、今度は三叉槍からのインカムが繋がった。
『なぁ、今第三の目んとこ着いたんだけど、アイツ敵丸ごと丸焼きにしてんだけどやべぇかな?』
「これ以上の情報量は勘弁してくれ……!」
後丸ごと丸焼きって表現は何なんだ三叉槍。意味重複してるし、そもそも第三の目#が持ってたの麻酔銃だっただろ!!何で燃やしてる!!
「……今日もシヴァ様は尊いなぁ……」
蛇は、ちょっと現実逃避を始めた。いや、逃避している場合では無いのだが。
ちなみに三叉槍も火だるまになった敵部隊に水をぶっかけてる第三の目の部隊を見ながら「……ヤベェやつに育てちまった……」と遠くへと意識を飛ばしていた。
**(後書き)**
第三の目の松野君、平凡な家庭で育った割に「殺さないように制圧を!」で人燃やしてるんで、作者は大分サイコパスだと思ってます。アイツやべー。
ちなみに、ポーンとして割り振られた者たちの場所には幹部は居らず、普通に不良のような乱闘騒ぎで、場を制圧していた。これも勘違いに拍車をかける原因である。
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三日月の方は世界トップレベルのハッカー。
2箇所同時とはいえ、見事にサイバー攻撃を撃退してみせ、更にはその技量を教え込まれた部下達からの猛攻に、弓の射手側のメインサーバーは早々に堕ちることになった。
太鼓の元に居た幹部は悪名高くはあるものの、相手の幹部がシヴァの悪口を言ったことにより、バーサーカー太鼓となり、1人残らず電気銃で気絶させた。
悪口を言った幹部だけは太鼓が直接ボコボコにしたが。
そして、同じく早期制圧を完了させた蛇が対敵した幹部は、殺害人数で言えば矢よりも多い、最凶最悪の殺人鬼だった。
「君は育ち過ぎてる。殺しがいがない。あと10歳若返ってからおいで。」
「生憎だが俺はお前みたいなタイプが嫌いなんだ。」
だが、蛇は水を撒いておいた場所まで誘導し、電気銃を地面に打ち込む事で、全員まるっと感電させ終わらせた。
水に足をつけている人間全員を一度に感電させるその効率重視のやり方に、部下は「流石シヴァ様の右腕。」と頷き、防犯カメラ越しに見ていた代田達は引いた。ちなみに公安は歓声を上げた。
(……既にキングの駒は移動しているな……流石に全ての移動箇所が指示だとは思えない。弓の射手の総力もそうだが、場合によっては同じ場所を行ったり来たりすることになる。)
蛇は三日月率いるサイバーチームから送られてきたチェスの対局状況をスマートフォンで確認しながら、三日月、太鼓の制圧完了報告を聞いていた。
その後には三叉槍からの制圧完了報告が届き、蛇は顎に指を添え、どうしようか、と唸る。
(野々本の方は人数が多いし、そんなに心配はしていないが……川と第三の目、この2人のどちらかはヘルプに向かった方がいいか。)
元々、川も第三の目も戦闘要員では無い。一応2人とも幹部として最低限の戦闘訓練は受けているが、体格が小さい分、2人とも体術の攻撃は軽くなるし、力負けしてしまう。
(第三の目は確か麻酔銃だったな……川は電気銃を持っていたが……)
地図アプリでそれぞれの幹部の場所を確認しながら、少し考え込み、蛇は三叉槍にインカムを繋げた。
「俺はこれから川の方へ向かう。三叉槍も念の為第三の目の方へとヘルプに向かってくれ。」
『三叉槍りょーかい。』
戦力の余力で言えば太鼓を動かしたかったが、如何せん太鼓の位置からだとどちらのヘルプに向かおうが距離がある。
(それに、第三の目には考える頭脳がある。多少はどうにかできるはずだ。)
そうなるとやはり不安要素が大きいのは川だ。
蛇はスマートフォンをポケットにねじ込み、部下に着いてくるように指示を出す。
川は三叉槍よりも後に幹部となった、割と新米の幹部だ。
とはいえ、第三の目よりは在籍期間も長いし、最年少幹部として遜色無い才能を発揮している。
ただ、その才能も戦闘には向いていない。
だからこそ、蛇は川のヘルプへと向かったのだが、
「……これは、どういう状況だ……?」
「あたしの方がシヴァ様のこと分かってんだから!!」
「いいや!この私だね!!」
「本当にこれはどういう状況だ???」
わざわざテーブルをどこぞから持ってきて向かい合って座り、ジョッキを飲み干してはテーブルに叩きつけて叫び合う2人。
相手の幹部、ヴァジュラはまだしも、川は15歳のガッツリ未成年なので酒ではないと願いたいが、そもそも何故飲み勝負のような状況が出来上がっているのか。
チャトランガ側の部下も弓の射手側の部下も「もっと言ってやってください!!」「そうだそうだー!!」と互いに野次を飛ばしあっているだけで、乱闘になる様子もない。
(……だめだ、何がどうしてこうなったのか何も分からない。)
こめかみを抑え唸る蛇に、今度は三叉槍からのインカムが繋がった。
『なぁ、今第三の目んとこ着いたんだけど、アイツ敵丸ごと丸焼きにしてんだけどやべぇかな?』
「これ以上の情報量は勘弁してくれ……!」
後丸ごと丸焼きって表現は何なんだ三叉槍。意味重複してるし、そもそも第三の目#が持ってたの麻酔銃だっただろ!!何で燃やしてる!!
「……今日もシヴァ様は尊いなぁ……」
蛇は、ちょっと現実逃避を始めた。いや、逃避している場合では無いのだが。
ちなみに三叉槍も火だるまになった敵部隊に水をぶっかけてる第三の目の部隊を見ながら「……ヤベェやつに育てちまった……」と遠くへと意識を飛ばしていた。
**(後書き)**
第三の目の松野君、平凡な家庭で育った割に「殺さないように制圧を!」で人燃やしてるんで、作者は大分サイコパスだと思ってます。アイツやべー。

