結論から言えば、紅葉組を潰すのは5日後に決まった。
展開が早すぎて僕ついていけない。
松野君の提案をベースに、戦力の補填を三叉槍さんに、新しい噂を放流するのを川さんに、警察内部の情報操作を太鼓さんに、それぞれ任せる形でまとまった。
あとは牡丹組と当日の動きを含めた作戦を詰めるだけ、と訳の分からないまま、会議がまとまってて僕には困惑しかないよ……
というか太鼓さんって警察の人だったんだ。社畜だとは思っていたけどまさか公務員、しかも反社会勢力と正反対の立ち位置の人だったとは驚きだ。
(……帰ったらオンラインでチェス対戦しよ……)
もうこれはここでチェス出来る雰囲気ではないだろう。
いや、そもそもここはチェスやるための場でもないのだけれど。
(……あれ?)
そこで、はたと気づいてしまった。
最近、色々とありすぎて蛇さん達となかなかチェスの勝負ができていない。
(もしかして、その紅葉組との争いが終わらないと皆忙しくて、チェスできない……?)
宜しくない。それは大変宜しくないぞ。
僕にとってチェスは食事よりも大事なものだ。
中でも緊迫したやりとりの勝負はとても面白いし、胸が踊る。
なのに、その対戦相手筆頭である蛇さん達と5日もチェスができない……?
(え、地獄すぎる。)
確かにオンラインでも対戦できる。
今やスマホさえあれば様々なボードゲームを全世界の人間と対戦できる時代だ。
でも、それはそれで、対面した試合は試合で違う醍醐味があるのだ。
相手の顔色、呼吸、仕草、コマの動かし方。
それら全てを探りあっての心理戦。
そんなチェスが楽しめないなんて僕からすれば死活問題だ!
「……明後日にしよう。」
ここで明日と言わなかったのはせめてもの理性だった。
でも5日も待てない。明後日が限界。
「明後日……ですか?随分急ですが、何か理由が?」
どこか困惑気に蛇さんが尋ねてくる。
しかし、いざそれを聞かれると「チェスしたいのにみんな忙しかったら出来ないじゃん!」と言うのは憚られた。
単純に僕のワガママだし、紅葉組とかいうのがどんな所かイマイチ分かっていないけれど、暴力団というだけで大変な作戦だというのはわかっていた。
「……早く潰したい。僕のワガママだ。」
だから、無理なら別に無理でいいですよーと遠回しに伝える。
憚られたものの、チェスのために早く潰したいのもワガママというのも事実だからそこはちゃんと伝えた。
しかし、これをそのまま言葉通りに受け取るシヴァ信者……もとい幹部達ではない。
幹部達はその一言に「シヴァ様……実は物凄く紅葉組に怒ってらっしゃる!?」と新たな勘違いを生み出していた。
確かにチャトランガの庇護対象である若者や社会的弱者へ手を出している時点で紅葉組はシヴァ様の地雷を踏み抜いているし、その組織のあり方はチャトランガとは真逆のものだ。
これは相当怒っているぞ、と三叉槍は無意識に唾を飲み込んだ。
たまたま資料が開かれているページが紅葉組による被害一覧だったこともあり、勘違いは加速した。
ちなみに芝崎は適当にパラパラ捲っていただけで中身なんてちゃんと見ていなかった。
そういうところだぞ。
「わかりました。作戦の決行は明後日にしましょう。」
とあっさり首肯した蛇さんの言葉に、思わず「えっ」と間抜けな声が出そうになった。
「シヴァ様の言う通り早く潰すべき組織です。これ以上被害者を生み出さないためにも。」
「ま、俺らのボスのワガママならぁ?聞いてやんねーと幹部も名折れだろ?」
「そーね!それに早い方が紅葉組に準備する時間を与えなくて済むんじゃない?」
なんて続いて三日月さん達が次々に肯定していく。
本当はかなり忙しくなるからきついだろうに皆が優しすぎて泣きそう。
なんでこの人たち反社してるんだろう。
「……ありがとう。」
とりあえず、皆が協力してくれるなら僕の死活問題はなんとかなりそうだ。
でもお礼言った瞬間に皆が椅子から崩れ落ちたのは驚いた。
え、僕そんなお礼言えない人間だと思われていたの??
展開が早すぎて僕ついていけない。
松野君の提案をベースに、戦力の補填を三叉槍さんに、新しい噂を放流するのを川さんに、警察内部の情報操作を太鼓さんに、それぞれ任せる形でまとまった。
あとは牡丹組と当日の動きを含めた作戦を詰めるだけ、と訳の分からないまま、会議がまとまってて僕には困惑しかないよ……
というか太鼓さんって警察の人だったんだ。社畜だとは思っていたけどまさか公務員、しかも反社会勢力と正反対の立ち位置の人だったとは驚きだ。
(……帰ったらオンラインでチェス対戦しよ……)
もうこれはここでチェス出来る雰囲気ではないだろう。
いや、そもそもここはチェスやるための場でもないのだけれど。
(……あれ?)
そこで、はたと気づいてしまった。
最近、色々とありすぎて蛇さん達となかなかチェスの勝負ができていない。
(もしかして、その紅葉組との争いが終わらないと皆忙しくて、チェスできない……?)
宜しくない。それは大変宜しくないぞ。
僕にとってチェスは食事よりも大事なものだ。
中でも緊迫したやりとりの勝負はとても面白いし、胸が踊る。
なのに、その対戦相手筆頭である蛇さん達と5日もチェスができない……?
(え、地獄すぎる。)
確かにオンラインでも対戦できる。
今やスマホさえあれば様々なボードゲームを全世界の人間と対戦できる時代だ。
でも、それはそれで、対面した試合は試合で違う醍醐味があるのだ。
相手の顔色、呼吸、仕草、コマの動かし方。
それら全てを探りあっての心理戦。
そんなチェスが楽しめないなんて僕からすれば死活問題だ!
「……明後日にしよう。」
ここで明日と言わなかったのはせめてもの理性だった。
でも5日も待てない。明後日が限界。
「明後日……ですか?随分急ですが、何か理由が?」
どこか困惑気に蛇さんが尋ねてくる。
しかし、いざそれを聞かれると「チェスしたいのにみんな忙しかったら出来ないじゃん!」と言うのは憚られた。
単純に僕のワガママだし、紅葉組とかいうのがどんな所かイマイチ分かっていないけれど、暴力団というだけで大変な作戦だというのはわかっていた。
「……早く潰したい。僕のワガママだ。」
だから、無理なら別に無理でいいですよーと遠回しに伝える。
憚られたものの、チェスのために早く潰したいのもワガママというのも事実だからそこはちゃんと伝えた。
しかし、これをそのまま言葉通りに受け取るシヴァ信者……もとい幹部達ではない。
幹部達はその一言に「シヴァ様……実は物凄く紅葉組に怒ってらっしゃる!?」と新たな勘違いを生み出していた。
確かにチャトランガの庇護対象である若者や社会的弱者へ手を出している時点で紅葉組はシヴァ様の地雷を踏み抜いているし、その組織のあり方はチャトランガとは真逆のものだ。
これは相当怒っているぞ、と三叉槍は無意識に唾を飲み込んだ。
たまたま資料が開かれているページが紅葉組による被害一覧だったこともあり、勘違いは加速した。
ちなみに芝崎は適当にパラパラ捲っていただけで中身なんてちゃんと見ていなかった。
そういうところだぞ。
「わかりました。作戦の決行は明後日にしましょう。」
とあっさり首肯した蛇さんの言葉に、思わず「えっ」と間抜けな声が出そうになった。
「シヴァ様の言う通り早く潰すべき組織です。これ以上被害者を生み出さないためにも。」
「ま、俺らのボスのワガママならぁ?聞いてやんねーと幹部も名折れだろ?」
「そーね!それに早い方が紅葉組に準備する時間を与えなくて済むんじゃない?」
なんて続いて三日月さん達が次々に肯定していく。
本当はかなり忙しくなるからきついだろうに皆が優しすぎて泣きそう。
なんでこの人たち反社してるんだろう。
「……ありがとう。」
とりあえず、皆が協力してくれるなら僕の死活問題はなんとかなりそうだ。
でもお礼言った瞬間に皆が椅子から崩れ落ちたのは驚いた。
え、僕そんなお礼言えない人間だと思われていたの??