なんだかよくわからない展開を乗り切りながらも登校し、放課後を迎える頃には知恵熱もすっかり下がっていた。
(あ、そういえば今日皆で集まる日だっけ?)
チャトランガは一応、反社会的勢力に値する組織だ。一応。
ボスである僕何もしてないけど。
そのため、月に1度幹部全員が集まって今後の動向や方針を決める集まりがある。
まあ、なんの話ししてるのか僕は全然分かっていないので、適当に相槌を打ったりチェスの話をしたりしている。
(……熱も下がったし、行かないとまずいよなぁ……)
一応、何度でも言うが一応僕がボスだ。
もうボスがこんなんだからチャトランガはチェスクラブでいいと思う。組織うんにゃらは他所でやって欲しい。いや、元々僕が勘違いして突撃したのが原因なんだけれども。
(……あ、どうせ僕話わかんないし、松野君誘って隅でチェスしてよーっと。)
松野君なら幹部である三叉槍さんが勧誘した人間だし、呼んでも別に大丈夫だろう。
(それならあの野々本君だっけ、あの子も誘っていいかなー。)
野々本君も幹部たちと顔合わせしてたし、松野君も僕以外の人ともチェスを楽しみたいはずだ。
一応初めて対戦した時に松野君の事を紹介したのも僕だし、ここで1度会わせてあげた方がいいかもしれない。
ポケットからスマートフォンを取り出し、松野君と野々本君にメールを送っておく。一応幹部のメンバーにも2人を呼ぶ旨はメールしておいた。
まあ、そんなこんなで訪れた定例会議。
部屋に入ってすぐ、蛇さんにあれよあれよとお誕生日席……上座へと誘導され、座らされてしまった。
え、僕、隅でチェスする気満々だったんだが?
何故か松野君にも席が用意されており、その後ろに側近のように野々本君が立っていた。
え、どゆこと……??
「では、チャトランガ定例会議を始めます。」
(え、このまま始めるの???)
三日月さんの開始の言葉に、誰も松野君と野々本君に疑問を抱いていないことがわかる。
(知り合いだった……?いや、でもなんで野々本君だけ立たされてんの……?新手の虐め……??)
チャトランガって一応弱者の味方を指標にしているんだよね?
訳がわからなすぎて、再び知恵熱が出そう。
そんな中、蛇さんが、片手をあげ、立ち上がった。
「以前の幹部会で協議された件について太鼓から報告があります。」
(幹部会とか知らんのだが……??)
そんな僕の困惑を置き去りに、蛇さんはビデオ通話になっているスマートフォンをテーブルの真ん中に置いた。
「アンタ今日も来れなかったわけ?」
と、川さんが頬杖を着きながら唇を尖らせた。
そういえば最近太鼓さんがこのアジトに全然来なくなったな、と今更ながらに思い返す。
『仕方ないじゃないですか。今私は下手に動けないんですよ、表の仕事柄ね。』
(……あ、もしかして太鼓さんって社畜……)
なんの仕事をしているのかは知らないけれど、相当忙しいのだろう。
思えば太鼓さんと最後にチェスをしたのも結構前だ。
「……いつも、お疲れ様。沢山助かってる。」
お仕事お疲れ様です、と意を決して伝えれば、少しニュアンスは変わってしまったがちゃんと労いの言葉が口から出てきた。
一応更に細かく補足を加えるなら「いつもお仕事お疲れ様です。太鼓さんが仕事頑張ってるおかげで助かっている人きっと沢山いますよ!」と言いたかった。
僕の口の動かなさよ……
しかし、太鼓さんにはちゃんと伝わったらしく、画面の向こうで咽び泣いてる。
こんな口下手な労いの言葉にこんなに泣いてしまうなんて、社会人って大変なんだなぁ。
「……うらや……コホン、太鼓、その汚い顔面をさっさと拭いて報告しろ。」
『はーん??直接労って貰ったことの無い蛇は黙ってもらっていいですかー?私は今シヴァ様の尊さを体感してるんです。鼻かむんでちょっと待ってください。』
1度フェードアウトしたかと思えば、画面の向こうから盛大に鼻をかむ音が聞こえ、澄ました顔で再び太鼓さんが戻ってきた。
『実は、あの作戦上手くはいったんですが、一つだけ予想外のことが起こりました。』
(……あの作戦って何?僕知らないんだけど??)
やっぱり僕はボスに向いていないので今すぐ誰か変わって欲しい。そもそも何の話か何も分からないし。
『松野翔が、シヴァ様ではないか、と調べている刑事がいます。』
「「「は……?」」」
(あ、そういえば今日皆で集まる日だっけ?)
チャトランガは一応、反社会的勢力に値する組織だ。一応。
ボスである僕何もしてないけど。
そのため、月に1度幹部全員が集まって今後の動向や方針を決める集まりがある。
まあ、なんの話ししてるのか僕は全然分かっていないので、適当に相槌を打ったりチェスの話をしたりしている。
(……熱も下がったし、行かないとまずいよなぁ……)
一応、何度でも言うが一応僕がボスだ。
もうボスがこんなんだからチャトランガはチェスクラブでいいと思う。組織うんにゃらは他所でやって欲しい。いや、元々僕が勘違いして突撃したのが原因なんだけれども。
(……あ、どうせ僕話わかんないし、松野君誘って隅でチェスしてよーっと。)
松野君なら幹部である三叉槍さんが勧誘した人間だし、呼んでも別に大丈夫だろう。
(それならあの野々本君だっけ、あの子も誘っていいかなー。)
野々本君も幹部たちと顔合わせしてたし、松野君も僕以外の人ともチェスを楽しみたいはずだ。
一応初めて対戦した時に松野君の事を紹介したのも僕だし、ここで1度会わせてあげた方がいいかもしれない。
ポケットからスマートフォンを取り出し、松野君と野々本君にメールを送っておく。一応幹部のメンバーにも2人を呼ぶ旨はメールしておいた。
まあ、そんなこんなで訪れた定例会議。
部屋に入ってすぐ、蛇さんにあれよあれよとお誕生日席……上座へと誘導され、座らされてしまった。
え、僕、隅でチェスする気満々だったんだが?
何故か松野君にも席が用意されており、その後ろに側近のように野々本君が立っていた。
え、どゆこと……??
「では、チャトランガ定例会議を始めます。」
(え、このまま始めるの???)
三日月さんの開始の言葉に、誰も松野君と野々本君に疑問を抱いていないことがわかる。
(知り合いだった……?いや、でもなんで野々本君だけ立たされてんの……?新手の虐め……??)
チャトランガって一応弱者の味方を指標にしているんだよね?
訳がわからなすぎて、再び知恵熱が出そう。
そんな中、蛇さんが、片手をあげ、立ち上がった。
「以前の幹部会で協議された件について太鼓から報告があります。」
(幹部会とか知らんのだが……??)
そんな僕の困惑を置き去りに、蛇さんはビデオ通話になっているスマートフォンをテーブルの真ん中に置いた。
「アンタ今日も来れなかったわけ?」
と、川さんが頬杖を着きながら唇を尖らせた。
そういえば最近太鼓さんがこのアジトに全然来なくなったな、と今更ながらに思い返す。
『仕方ないじゃないですか。今私は下手に動けないんですよ、表の仕事柄ね。』
(……あ、もしかして太鼓さんって社畜……)
なんの仕事をしているのかは知らないけれど、相当忙しいのだろう。
思えば太鼓さんと最後にチェスをしたのも結構前だ。
「……いつも、お疲れ様。沢山助かってる。」
お仕事お疲れ様です、と意を決して伝えれば、少しニュアンスは変わってしまったがちゃんと労いの言葉が口から出てきた。
一応更に細かく補足を加えるなら「いつもお仕事お疲れ様です。太鼓さんが仕事頑張ってるおかげで助かっている人きっと沢山いますよ!」と言いたかった。
僕の口の動かなさよ……
しかし、太鼓さんにはちゃんと伝わったらしく、画面の向こうで咽び泣いてる。
こんな口下手な労いの言葉にこんなに泣いてしまうなんて、社会人って大変なんだなぁ。
「……うらや……コホン、太鼓、その汚い顔面をさっさと拭いて報告しろ。」
『はーん??直接労って貰ったことの無い蛇は黙ってもらっていいですかー?私は今シヴァ様の尊さを体感してるんです。鼻かむんでちょっと待ってください。』
1度フェードアウトしたかと思えば、画面の向こうから盛大に鼻をかむ音が聞こえ、澄ました顔で再び太鼓さんが戻ってきた。
『実は、あの作戦上手くはいったんですが、一つだけ予想外のことが起こりました。』
(……あの作戦って何?僕知らないんだけど??)
やっぱり僕はボスに向いていないので今すぐ誰か変わって欲しい。そもそも何の話か何も分からないし。
『松野翔が、シヴァ様ではないか、と調べている刑事がいます。』
「「「は……?」」」